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メールマガジン バックナンバー 第16号(2005.2.14)

2005.2.14(第16号)

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1.宋文洲の日本の長所・短所(連載2)
2.日本の若者の強さ
3.「商品力依存の経営的危機」
4.TBS「榊原・嶌のグローバルナビ」に宋が生出演

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■1.宋文洲の日本の長所・短所(連載2)
宋 文洲
(財界2005/1/25号より)

文化論の不毛

1985年に日本に来た時、日本はカラオケ最盛期だった。マイクを握って自分の歌声に陶酔しているサラリーマンの姿をみて「歌手でもないのに恥ずかしくないか」と思った。周りの日本人に「中国にカラオケを持っていったら流行るのでは」と聞かれたが、「中国では絶対流行らない」と思った。

5年後、久しぶりの帰省で田舎を訪ねてみると、農民達が安いカラオケセットを使って庭で熱唱する姿をみた。この時、文化の違いでビジネスを推測することを絶対にしないと心に誓った。しかし、最近、ローソンのおにぎりが上海で売れていることを聞いて、やっぱり不思議に思った。

異国のマーケティングの際、あまり文化を意識しないほうが、かえってチャンスを捉えることができる。なぜならば、私の体験からも分かるように、文化というものはかなり思い込みによる部分があるからである。理解する人ほど、内部に居る人ほど、その思い込みが激しいからである。

あぐらは日本的な座り方だと思う日本人が多いだろう。実はあぐらは「胡座」と書き、「胡人の座り方」を意味する。「胡人」の胡は「胡椒(こしょう)」、「胡瓜(きゅうり)」の胡と同じく、西域の国を指す。古代中国人が、絨毯の上であぐらをかく西域の人の姿をみて、胡座と表現したのだと思う。

また、「日本は恥の文化」とよく聞かされるが、「夜這い」の風習を知った時、びっくりしたと同時に、昔の日本は開放的で羨ましいと思った。

恥の概念は、道徳基準によって変わるものである。「不貞」や「不倫」を恥じるようになったのは、きっと途中から道徳基準が変わったからだろう。

文化というと高尚に聞こえるが、かなりいい加減なところがある。ビジネスにおいては、「日本的」とか「中国的」とか「欧米的」ということは、かなり不毛な議論である。

ソビエト崩壊後、欧と米はかなり違ってきたし、中国やロシアでは、それまで全くなかったパターンが現れた。文化は相対的に安定するが、ビジネスは条件と環境によって激しく変化する。

よく考えてみると「営業は根性だ」、「営業は足で稼ぐ」といった営業文化を信じず、「科学的営業」「仕組みの営業」を提唱したのは、私の今のビジネスパターンである。日本の営業文化の外に居たからこそ、気付いたビジネスチャンスであった。

相手のことを真剣に考えるには、相手の習慣に従わない時も必要であろう。一時的に嫌われるかもしれないが、本音で相手を思う自信があれば、しばらくは我慢できるはず。

顧客のためなら「中国では・・・」の発想をしないことを自分に誓い、「日本では・・・」にも染まらないように自戒する、今日この頃である。

(編集部)


■2.日本の若者の強さ

就職の時期です。

私は自社他社の人事部門に頼まれて来年4月に就職予定の大学3年生に「強い個人へのお勧め」というタイトルで講演をしました。そこで強く感じましたのは日本の若者の強さです。

彼らはどこの国も負けないエネルギーをもっています。「ハングリー精神が足りない」とか「やる気がない」とか「日本の教育のせいだ」とか非難ばかりをする大人達はぜひ彼らに水を射すのではなく、彼らのエネルギーに火を灯っていただきたいものです。

講演の概要:
・会社ではなく自分を大切にする。強い個人の多い会社は自然に強い会社になる。

・「滅私奉公」や「愛社精神」を求める企業を注意せよ。「愛」は双方向性が必要で自然に発生するものである。

・「差」は「差別」ではなく、エネルギーであり、Differenceである。公正な評価では必ず結果の差が生まれる。でもそれは人生の価値の差ではない。

・会社選択に過剰に拘る必要はない。なぜならば選択によって人は幸せにならないからだ。どう選ぶかでは幸せになれない。どう生きるかで幸せになれる。

・以下の企業に注意しよう。
経営者の顔が見えない。面接者が傲慢。社員が挨拶しない。オフィスが静か過ぎる。外来語が多い。など

以下に私と学生達とのメールのやり取りの2つの事例です。
反響がよければ次号も公開します。

(1)2005年1月29日開催された就職セミナーに出席した学生が宋に送ったメールです↓
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突然のメールで失礼いたします。本日(1月29日)御社のセミナーに参加いたしました富樫(仮名)と申します。著書にサインをして頂きありがとうございました。しっかり熟読させていただきたいと思います。本日は非常にためになる話を聞くことができ参加した意味がありました。私なりに刺激を受けました。これからの就職活動に活かしていこうと思います。またお会いできればと思います。1つ質問なのですが、宋会長はこれから日本は中国に抜かれると思いますか?もしくはもう抜かれたと思いますか?

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学生のメールを受けて宋の返信メールです↓
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富樫さん、

宋です。
昨日はありがとうございました。
覚えていますよ。サインの時はしっかりお名前とお顔を。
良かったらぜひ来てください。
社員としても友人としても、一緒です。
社員とも対等ですから。

日中の比較には判断基準が必要です。
人口や国土では中国は昔から日本を越えていましたね。
これに比例して携帯電話、冷蔵庫の数などは最近になって日本を越えました。
さらにこれに比例してGNPはいずれ超えるでしょう。
30年後、アメリカをも超えるとの予測もよく聞きます。

しかし、一人当たりの平均所得、社会全体のモラルの高さ、快適な生活環境、金融資産、知的資産などは日本は将来にわたって優位に立つと思います。

何をもって比較するかで順位が違ってきます。
日本と中国は同じことをやって同じことで競合するより世界を一つとして捉え、それぞれの強みを発揮し、相手の長所を取り込むと両国の市民がもっと幸福になると思います。

馬と牛のどちらが上かと聞かれるとあなたも困ってしまいますよね。
走ることで比較するか、それとも引っ張る力で比較するかで全然結論が違います。

ソフトブレーンの社員は東京にも居て北京にも居ます。
彼らの仕事は日本の企業も中国の企業も応援しています。
たぶん、我々人間は競争によって幸せになるのではなく、競争を調味料にお互いに自分が幸せになることが最重要だと思います。

私がセミナーで強調した「強い個人」とは相手に勝つ強さではなく、相手と異なっても不安にならず自分を持つ強さです。

宋 文洲

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宋のメールを受けて学生の返信メールです↓
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富樫です。
質問の仕方が下手ですいません。質問はもっと相手の立場に立ってしなくてはいけないですね。それでも的確なお答えをありがとうございます。私はGNPやGDPという視点だけで考えていましたが、一人当たりの平均所得、社会全体のモラルの高さ、快適な生活環境、金融資産、知的資産など、様々な要素がありますね。

最近、中国や韓国やインドがこれからはどんどん伸びるという情報をよく見聞きし、彼らに負けないようにしなくてはと思っておりましたが、競争の中でお互いに高めあうことが重要なのですね。
私も社会に出てその一員になる様にがんばりたいです。

アドバイスとなる答えを本当にありがとうございます。
会社説明会にはぜひ参加したいと思っております。

富樫

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学生のメールを受けて宋の返信メールです↓
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宋です。
ありがとうございます。
良い会話ができましたね。
日本の若者は海外のどこにも負けることがない。
ソフトブーンのソフトはどこの国のソフトに負けずにトップシェアになりました。
そのソフトウェアの開発の中心は若い社員(日本人)達でした。
一緒にその事例を増やしましょう。


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(2)就職セミナーにおける宋の講演録音を聞いた学生が
責任者に送った感想です↓
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ごぶさたしております。山田(仮名)です。

今日、先日とどいたエグゼのCDを拝聴させて頂きました。
宋文洲氏のお話は初めてお聞きしましたが、日本人にはないものの捕らえ方は勉強になりました。

大人から「今の若い者は・・・」と言われるのは物質的に豊かな環境で育ったこともありますが、やはり「差」がないからだというのは、なるほど納得です。

事あるごとに「差別」という盾を構え、「いじめ」だと攻撃する風潮は極端な気がします。

「差」というのは、人を蹴落としたり、自分の都合の悪いことを排除することではなく、切磋琢磨するというか、負けず嫌いの精神でさらに成長させるためのインセンティブだと捕らえることはできないのでしょうか・・・。
長々と申し訳ありません。

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上記のメールを転送していただき、読んだ宋が学生に送ったメールです↓
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はじめまして。宋 文洲と申します。
メールを拝見して嬉しかったです。
あなたのコメントは実に深みがあって私の話を見事に正面から理解してくださいました。
「差」はエネルギーのもと、活かせるものだと皆が前向きに捉えたら、日本はもっと活力が増えると私は確信しています。

人生には多くの選択があり、時には困難な選択もあります。
ほとんどの若者が行う就職という選択は大した重要な選択ではないのです。

実は就職後こそもっと多くの重要な選択があるのに多くの人はそれを避けようとします。安定性を求めるための大手への就職自体は就職後の選択を避けるためでもあります。(大手に就職すること自身に問題があるのではなく)

困難な仕事、海外への転職、リスクのある職務、人との出会い・・・
これらのことは全部自ら選択するからこそできることであって、選択しないならば、選択の存在自体に気付かないのです。
これらの選択は死ぬまで続き、いつでも人生を変えてくれます。
なのに気付かない人はほとんどです。

「せめられる選択、連れられる選択は大した『差』をもたらしてくれない」。
山田さんの素晴らしいコメントに感謝して私の送る言葉です。

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宋のメールを受けて学生が直接宋に送ったメールです↓
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宋 文洲 様

お忙しいことろ、失礼致します。
私は、山田と申します。

宋会長からメールを頂き、驚くのと同時に、私の拙い感想をお褒め頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます!
素直な感想が書けたのは、宋会長のお話が明快で分かりやすいからに他なりません。また、山近社長の主催するビジネスエグゼクティブプログラムのお陰だと思っております。

「差」は良いとか悪いとかではなく、人間が成長するために必要なものなのですね。

私事ですが、3月に大学を卒業し、4月から地元の地方銀行に勤めます。社会に出る前に宋会長のお話が聞けて、考え方が前向きになりました!

“リスクも選択肢として選べる人間”になりたいと思います。
> 「せめられる選択、連れられる選択は大した『差』を
> もたらしてくれない」。
肝に命じて、精進して参ります。

本当にありがとうございました。
それでは失礼します。
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(終わり)
(編集部)


■3.「商品力依存の経営的危機」

我々は物だけで幸せにならない。誰でも知っていることだ。しかし、企業は物作りだけで成長し続けると信じる人がたくさん居る。

商品力に頼る以上、絶対的に顧客を大切にすることはない。良いと思い込んで作った製品が売れないと企業は営業の問題にして、営業マンは顧客の都合を無視して売り込む。

どこが「顧客中心」だと言うのだろうか。アサヒビールにて新しい営業マネジメントで成果をあげた木名瀬氏と共に話をしてみたいと思います。
(3月7日 名古屋で開催します)


(編集部)


■4.TBS「榊原・嶌のグローバルナビ」に宋が生出演

宋が今週の土曜日のTBS経済番組に生出演します。
チャンネルはBS6ch(BSi)で、時間帯はAM8:30〜9:25です。

メインコメンテーターは「ミスター円」の榊原英資氏でメインキャスターは気鋭の経済ジャーナリスト嶌信彦氏です↓

BSが見れる方はぜひモーニングコーヒーを飲みながらお眺めください。

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