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メールマガジン バックナンバー 第17号(2005.2.24)
2005.2.24(第17号)
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1.キヤノン販売 村瀬治男社長に聞く:「顧客主語」って何ですか?(3)
2.宋文洲の日本の長所・短所(連載3)
3.メールマガジン16号に対する「反響・反論・反省」
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■1.キヤノン販売 村瀬治男社長に聞く 「顧客主語」って何ですか?(3)
(フィナンシャルジャパン2月号より)
社員の意識を変えるにはプロセスと人事考課を直結
(宋) 社員の意識改革と評価までのプロセスをどうフォローして、評価とプロセスを連動させようとしておられるのですか。
(村瀬) ここ何年間かキヤノンとキヤノン販売が一緒になって人事制度改革を進め、プロセスと評価を連動させる方向に変えてきています。従来の人事制度は定期昇給を基本に、若い人はペーパーテストの資格制度を中心に評価し、上に行くほどパフォーマンスに対する評価のウエートが高くなる仕組みでした。このパターンを変えた。まず「あなたのやっている仕事はどういうバリューがあるのか」と仕事内容を全部ブレークダウンして、それぞれの仕事にバリューポイントを付け、バリューポイントを持つ仕事において、その人がどれだけの結果を出すかを見ていこうと。
(宋) そのバリューというのは、結果を満たすためのバリューですか。
(村瀬) ええ。会社も個人も目標を持ち、お互いの目標をマッチングしながら仕事を与えていきます。個人の目標や目標達成スケジュールは、まず設定段階で上司と相談し、お互いに合意した目標が出ます。そして年の途中でレビューを行う。設定した目標を自己評価させ、上司も「私はこう見る」と説明して、どう軌道修正をするか話し合いで決めます。それを一年間やっていくと、本来の目標と見直した目標、それに対するパフォーマンスが出ます。それを基にお互い納得しながら評価する。そこで最終的な上司の評価と自己評価の差が縮まることもあれば、広がることもありますが、とにかくこれでいくんだと。組織の中でどういう役割を担い、それをどう果たしたかというプロセスと成果を評価していく仕組みです。上司が部下をどう評価したかを具体的に説明しないといけませんから、これは大変な革命です。評価が非公開の時は、上司にゴマをするか、ケンカをするかのどっちかしかなかったけど(笑)。
(宋) 軌道修正では、最終的に異動を希望することもできるんですか。
(村瀬) 仕事や役割を変わりたいという人も出てくるし、もっとその人に合った役割をやってもらう人も出てきます。この仕組みをまず管理職に導入していますが、05年から一般職に広げる予定です。新入社員は一定期間は除くつもりですが。
(宋) 仕事の棚卸しが全段階にわたって、かなりできてきているということですね。
(村瀬) はい。今は、その最後の段階です。営業プロセスの中には、売り上げ責任、利益責任もあります。その責任をどう配分するのか。本部に基本責任があり、それを分散したのが部や課にあるのか、どういうふうに積み上げていくのか、このあたりは組織の運営の仕方になると思います。たとえば新規案件に対してターゲットを絞って実行するにしても、今日の明日に注文が取れるわけじゃない。温める期間が必要で、その間は他の売り上げで支えます。それが組織というものですから、プロセスをきちんと評価しないといけません。
プロセスを日々実践させるキーパーソンが課長職
(宋) 営業のモチベーションが下がる理由は、そこなんです。新規事業は企業の将来の力なのに、短期的な結果だけで評価してしまう。すると優秀な人間ほど新規事業をやらなくなっちゃう。この問題に徹底的に注目して、解決に取り組む会社は絶対に強くなります。
(村瀬) そう思います。でも、実際にやるのはむずかしいですよね。
(宋) 業務プロセスの棚卸しに一番抵抗した人は、どう反論されたんですか。
(村瀬) 部下の行動を全部監視され、その上で自分の組織運営を否定される
部長クラスの抵抗が多かったんですが、「営業はそんなもんじゃない」と必ず
言いましたね。
「営業は日々の積み重ね、お客さまとの関係が大事なんで、多少の無駄があってもいい」と。本人が何のための無駄かを意識し、これをやるためにこの無駄をやっているんだと行動につながっていればいいんです。でも、実際は違うんです。
(宋) 「営業は売れてなんぼの世界、結果がすべて」と言う人ほど、無駄な時間を無駄と意識していませんよ。
(村瀬) そうそう。何をもって結果がすべてかがわかることが必要なんです。たとえば正直な話、営業に伴う付帯的なコストや資金の回転にまで営業マンの考えは及んでいません。そこまで考えられれば、営業活動に対する態度に大きな違いが出てくると思うんです。
(宋) 売り上げだけ要求すると、安くすれば売れる、宣伝費をかければ売れる、販売店の奨励金を上げれば売れることになりますが、この三点は全部コストですからね。
(村瀬) だからプロセスにこだわるんです。プロセスを実現しようとすれば、誰か一人が成果を独り占めすることは、今の時代ではあり得ないことですよ。部や課、ユニットという仕事の集合体として一つの結果が出てくるんですから。
(宋) 上司だから偉いんじゃないし、上司だから成果を独占できる時代じゃないと。そうなると、「偉い上司」というのはどういう人だと言えますかね。
(村瀬) 偉い上司というのは、やっぱり組織をちゃんと運営していて、その組織と上部組織との間を上手につないでいる人でしょう。うまく運営するということは、ただ吸い上げるだけじゃなく、ちゃんと下ろしていかないといけない。双方向ですよ、運営は。
(宋) プロセス全体をメンテナンスできる上司ですね。マネジメントは全体最適といいますか、全体が見えていて、その中で自分の役割をきちんと果たせることだと思いますが、そこまで目線の届いている人は少ない。
(村瀬) 私たちも含めて、口で言っていることを100%実践できているかというと、そこが人間の弱いところでしてね。やっぱり抜けが出てくる。日々反省ですよ。
(宋) 繰り返し、繰り返し、毎日ですね。
(終わり)
■2.宋文洲の日本の長所・短所(連載3)
宋 文洲(財界2005/2/8号より)
伝える力が国の壁を破る
証券市場の法的整備が待たれる中国に東京証券取引所の長友英資常務が招かれて、コンプライアンスやコーポレートガバナンスについて講演した。そして、中国経済界のトップクラス三百人から拍手の嵐を浴びたのである。彼はどんな話をしたのだろうか。
孔子、司馬遷を知っている日本人は多いが、文天祥という歴史人物を知っている日本人は稀であろう。文天祥は宋の国に忠誠を尽くし、元の粘り強い投降勧誘を拒み、死を選んだ宋の宰相である。彼が残した「人生自古誰無死、留取丹心照汗青」という漢詩の一節を知らない中国人はいないほど、有名な歴史人物である。「人生には必ず死が訪ねてくる。倫理観の高い心を史書に残して死にたい」という意味である。「丹心」とは高い倫理観であり、ロイヤリティである。
長友さんが通訳に中国語でその漢詩を読み上げてもらった後、スピーチを続けたのである。「コンプライアンスもコーポレートガバナンスも、制度や原則の箱を作るだけでは何の問題も解決してくれない。重要なのは経営者が丹心をもって、独自の中身を充実させることである」と。次の瞬間、会場から嵐のような拍手が湧き上がったのである。
日本でもコンプライアンスやCSRが盛んに議論されている。アメリカの事情にも明るい長友さんが、日本においては、常に日本の背景を意識し、日本の言葉でそれぞれの概念を分かりやすく説明している。彼の講演は分かりやすく、楽しいという定評がある。伝える力があれば、日本でも世界でも通じる。
制服嫌いなアメリカ人は、トヨタの米国工場では喜んで制服を着用している。「どうやってそんなことができたか」と不思議がる人もいるが、十数年にわたって、土日に競馬場でボランティアを続けた張富士夫社長の姿を思い出すと、答えが見えてくる。相手の立場を理解してこそ、伝える力が強くなるのである。
日本国内企業の倫理と経済の相互関係に対して述べるとき、長友さんはよく二宮金次郎の「道徳のない経済は犯罪である。経済のない道徳は陳腐である」という言葉を引用する。「コンプライアンスは制度や原則ではなく、身近にある日本の道徳・倫理・正義を再確認することである。企業=法人は法律で認められた『人』である。ユーザーの期待に応えるからこそ、社会的存在意味がある。売り上げはユーザーの投票である。バランスシートが法人の健康診断書である・・・・・・」。
日本の長所の一つは、日本と共に世界を理解しようとする日本人の国民性である。自分の国の人々だけではなく、他国の人々も理解できるように伝える知恵を持つことである。遣唐使も明治維新も戦後復興も、この点で共通している。この長所が発揮された時は日本が繁栄し、忘れた時は繁栄を失う。
(編集部)
■3.メールマガジン16号に対する「反響・反論・反省」
いつもたくさんの貴重なご意見、ご感想、誠にありがとうございます。
メールマガジンとして一方的に皆様に発信するだけでなく、それに対してどのような疑問、考えを皆様がお持ちになるのかを知ることは、新たな発見、視野の広がり、今後の改善点につながり、私達編集部にとっては大変ありがたいことです。いつも身の引き締まる思いで拝見させていただいております。
以下に頂いたご意見、ご感想をいくつか挙げさせていただきたいと思います。
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(1)文化論の不毛(財界2005/1/25号より)へのご感想をオムロン株式会社 取締役副社長 市原達朗様から頂きました。
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・1985年日本はカラオケ最盛期だったが、「中国では絶対流行らない」と思っていた、宋の記述に対して
私は、この件でもオムロンに大きな被害を与えました。昔(勿論カラオケが流行るずっと以前)、大阪の人がカラオケ(と言う言葉はなかったが)のコントローラの設計、生産をオムロンに打診にこられました。
私は、素人が、金を払って、人前で1人で歌を歌うと聞き、耳を疑いました。そんなものはやる道理が無いと瞬間的に判断したからです。勿論、断りました。あの時、私にもう少しマーケッティングセンスが有れば、今時、当社はウハウハ儲かっていたことでしょう。恥かしがり(と私が誤解していた)日本人がまさかカラオケにはまるとはねえ。中国では流行らぬでは無く、万国共通で流行るはずが無いと思っていました。
・5年後、中国でカラオケが流行り、文化の違いでビジネスを推測することを絶対にしないと心に誓ったが、最近、ローソンのおにぎりが上海で売れていることを聞いて、やっぱり不思議に思ったことに対して
文化の違いに起因するものと、人間の本性を理解していない(私の場合はそうだった)ことに起因することの微妙な差を見極めるのは大変です。また、文化も、もともと人間が創ったものなのですから、之を壊すことも当然可能なわけで、異文化だからと言うのは確かに危ない判断基準と言わざるを得ません。
・異国のマーケティングの際、あまり文化を意識しないほうが、かえってチャンスを捉えることができる。文化というものはかなり思い込みによる部分があるからであるという記述に対して
中国では、多目に食事を出しますし、日本では全部食べる話も、その本質は『相手を大事にする』事に有ります。文化は、本質を形式化し、表現するものですから、事の本質にまで遡らないと、というか、何故そうするのかのホントの理由に立脚した判断が必要と言うことです。文化に限らず、表現方法は色々ありますから、表面つらに囚われない、本質探求が必要です。日本人の弱さは、この本質を探らない50年を過ごしたことに有ります。
(以下割愛させていただきました)
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(2)文化論の不毛(財界2005/1/25号)に関して日立建機株式会社 執行役副社長 植田恭一様からご意見を頂きました。
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いつも配信有難うございます。
海外出張にいってよく駐在員宅に招かれて接待を受けます。そのときよく駐在員やその奥様がアメリカでは、イギリスでは、タイでは、と、では では では とさもその国のすべてをわかっているような話し方をするのを聞きます。
でも、住んでいるところはニューヨークあるいはロンドンあるいはバンコックで到底すべてのことがいえるわけではありません。
日本では、といっても、北海道と東京と沖縄では大違い。「でわの守」にならずに、謙虚に行きたいものです。
文化は確かに思い込みといえるかもしれませんね。ただ、いろんな国あるいは、地方の風習・習慣・しきたりというようなものについては、互いに理解しあうことは必要ですね。
植田恭一
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(3)富士電機ホールディングス株式会社 取締役社長 沢邦彦様からご感想を頂きました。メールマガジン16号で紹介した若者が少数派であることは否定できません。現状を楽観視しすぎず、意識して行動していきたいと再認識致しました。
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ソフトブレインメールマガジン編集部から定期的に届けられる貴兄の啓蒙的情報をいつも楽しく拝見しています。
正直に言って感銘を受けたり共感を覚えたりが毎回と言う訳ではありませんが、今回の富樫さん、山田さんと貴兄との交信は、とても良かったですね。読んでいて嬉しくなりました。
ただ、30年位前までの日本では、彼らのような青年がほとんどでしたが、昨今では、彼らのような青年はマイノリティーであることを私達はもっと意識して、そのような状態を作った我々が今なすべきことを真剣に考え、行動しなければならないのです。
ニートが53万人、フリーターが217万人の日本の現状をさておいて最近の日本の若者も捨てたもんじゃないなどといっていてはいけないと、私は折に触れ主張しています。
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(4)日本の若者の強さについてのご感想を頂きました。(氏名非公開)
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いつも配信を楽しみにしています。
今回の「日本の若者の強さ」について、興味深く拝読いたしました。
何時の時代も「今の若者は」というように言われてきているかと思いますが、我々もその時期を経てきました。
学生運動をくぐりぬけた後の私の世代は、『ノンポリ世代』、『モラトリアムの世代』等と言われた記憶があります。
しかし、全く主張が無かったのではなく、別の方向へ主張がされていたのが、当時は理解されなかったのでしょう。
若者は何時でも既存の価値観に挑戦をしていく事が多いと思っています。自分もそうであったと感じています。
一時は全てを新しく作り変えて行きたいと考え、革命とか実存主義とか色々な考えに影響されたものです。
その中で、自分達の存在価値を追求していく過程で、色々な文化との交流と変化が生まれていくのだと思います。
個人的な話しですが、日本を飛び出して、一人で自分を考えにアメリカに無目的で2ヶ月くらい行ったこともあります。
今は、というか少し前には「今の若者は・・・」と多少ネガティブに捕らえた事もありました。
でも最近、若い人たちの価値観に何らかの変化が生まれてきているように思います。それが何かは説明できませんが。
若い人たちは常に、既存に挑戦して新しい文化を追求していって欲しいと思います。
今回のメールのやり取りでも、若い人が真摯に自分を取り巻く環境に向き合おうとしているのを感じました。志を高く持って挑戦して欲しいですね。
また、我々の世代も負けてられない。防御ではなく、挑戦を続けたいという気持ちになりました。
一時メルボルンに海外赴任して帰国した後に、日本人社会の同質性(Homogeneous)を痛感しました。
今の若者と我々の世代も真摯な対話と協力で、多様性と地球規模での適応力を身に付けていきたいと思います。
以上つまらない感想です。
今後も刺激のある新たな発信をお願いします。
(終わり)
(編集部)
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