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メールマガジン バックナンバー 第179号(2011.08.05)

2011.08.05(第179号)

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1.敷地内で用を足した企業(論長論短 No.146)
2.金ピカ先生の連載コラム(第4回)
マイナスをプラスに変える

3.宋TV出演のお知らせ

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■1.論長論短 No.146

敷地内で用を足した企業
宋 文洲

ハイアールの楊綿綿総裁と知り合ったのは10年ほど前でした。全人代の会議のために北京にきていた彼女とホテルでランチを共にしました。

ハイアールは故郷山東省の農民達が起業した工場だったのですが、楊さんが最初の大卒幹部としてスカウトされ、あれ以来工場から企業への変化を主導してきました。

「最初はどんな状況でしたか」という私の質問に楊さんが少し躊躇してからいいました。「食事中で悪いが、私が壁に貼った最初の就業規則は『敷地内で大便するな』でした」。工員全員が地元の農民でした。それまでの彼らは職場(畑)で用を足すのは当たり前でした。

その数ヶ月後、既に大企業に成長したハイアールの工場を見学することにしました。もちろん日本メーカーの工場のように綺麗に整理整頓できていないし、設備も製品も旧式のように見えましたが、びっくりしたのは責任の厳しさでした。

工場内の目立つところに直近の不良品を棚に飾っていてその不良品に担当責任者の顔写真を貼ってあるではありませんか。しかも、その写真の下にその不良品によってもたらされる企業への損害金額を表示していました。

日本の感覚でいうとこれは明らかな吊るし上げですが、写真に写った人に「どう?」と聞くと、意外と皆が照れ臭い顔するくらいでそれほど重苦しく感じていない様子でした。どうも「展示」されても重い罰則がなかったようです。

私はすぐトヨタ自動車などがよくいう「見える化」を思い出しました。毎日目に見えるようにすることが大切なのです。楊さんはそんな概念を意識していないと思いますが、マネージメントは科学である限り、突き詰めていると結局同じ場所に到達するものだと思い知らされました。

二年後、楊さんが私にアポを依頼してきました。ハイアールの将来像に不安を感じているらしく、新規事業の一つとしてソフトウェアのオフショアを考えているとおっしゃいました。「宋さん日本のお客さんを紹介してくれないか」とのご依頼でした。合弁会社までを作って頑張ってみましたが、さすがの白物家電のハイアールでもオフショア事業では難しく、楊さんは気持ちよく諦めました。「これで安心して諦められます」とのコメントは彼女のチャレンジ精神を如実に表していました。

中国の企業家には楊さんのような「普通のおばさん」がかなり居ます。女性ではありますが、仕事や人生を語る時、日本でいう男性的な恩義、寛容と闊達を感じます。女性であることを希少性や特徴にして意識することをまったく感じません。

「敷地内で大便するな」を壁に書いた20数年後、楊さんが三洋電機の白物家電部門を買収することになりました。オフショア事業などの試行錯誤を経て先進国では利益が薄くなっていく白物家電の買収について決して迷いがない訳ではないはずです。

買収のニュースを知った時、私は突然10年前の楊さんとの会話を思い出しました。
「宋さん、ハイアールの製品は日本でも売れますか」。
「無理です」。
「なぜ?」
「日本の消費者は要望がきめ細かい。自国メーカーの製品が一番良いと思うし、中国製品への悪い印象も変わらない」。
「・・・そうか。それは我々にとってチャンスだ」。

「なぜチャンスだろう」と思いましたが、今になって少し分かったような気がします。彼女は日本の慢心を指摘していたのではないでしょうか。

(終わり)

今回の論長論短へのご意見はこちらへ↓
http://www.soubunshu.com/article/218305127.html

宋のTwitterはこちら↓
http://twitter.com/sohbunshu


■2.金ピカ先生の連載コラム(第4回)

マイナスをプラスに変える
金ピカ先生

前回、「文法には実用文法と理論文法の二種類があり、実用文法を知らなければ、その言語を使いこなす事はできない。しかし理論文法は知らなくても、言葉の運用に支障はない。母国語の場合、子供の頃から遊びながら実用文法を習得してしまっている。だから後から学校で理論文法が出て来て解らなくても気にしないのだ。

実用文法が解らなければ理論文法が解らなくて当然。例えるなら実用文法は自由に泳げる事。理論文法は水球かシンクロナイズドスイミングだ。泳げなければ水球なんぞできる筈がない。」と書いた。

文法には実用文法と理論文法の二種類があるのに、そんな事学校では教えてくれなかったから私は中1の最初から英語でオチコボレてしまった。「三人称単数現在のs」なんて言われてもさっぱり解らなかった。当然だ。こんな事サラリと教師は言うが、これは大きな文化の違いを含んでいる項目だ。土台、一人称、二人称、三人称の何たるかが解らなかった。

オマケニ「単数」だ。日本語では単数、複数の区別が明確ではない。言語は文化が表面に現れたものだ。謂わば文化に当てた光の影が言語である。したがって言語の背景にある文化を教えてくれなくては、理解出来ない。

日本では単数、複数は無頓着でも上下関係は明確だ。(最近乱れてはいても)。
しかし英語圏では上下関係に無頓着だからbrotherやsisterが出てきても「兄、弟、姉、妹」の区別を明確にしない場合がほとんどだ。何しろ父親をファーストネイムで呼ぶお国柄だ。

当時、何故上下の区別がないのか教師に質問したが「そんな余計なこと言ってる暇があったら勉強しろ」との理不尽な返答で終った。でも今ではこの教師に感謝している。こんな先生が多い御蔭で金ピカ先生が誕生したのだからマイナスが立派にプラスに転じてくれた。

こうしてオチコボレた私は中三で成績はオール2。私の時から都立高校は学校群制になり内申書の悪い者は都立受験前から不合格確定だった。やっと入れてくれた池袋にあった芝浦工業大学高校は隣がトルコ風呂(今の名称ではソープランド)だった。私がこう書くと教師の中には私が「悪口を言ってる」と反発する先生がいらっしゃる。どうも事実と悪口との区別がつけられないらしい。

さて、芝浦工大高校、私は母校として今では感謝している。もうとっくに鬼籍に入られたが、英語の先生で一人「あいつは文法を教えない」と言う噂で、学校一評判の悪い先生がいらした。入学初っ端からこの先生に習う事になった。
実はこの先生こそ「実用文法」を教えて下さる貴重な先生だったが周囲には「猫に小判」だったようだ。

私はこの先生の薫陶を得て高校創立以来初めての慶應合格者となった。この先生に出会わなかったら私は高卒で終っていた。マイナスと思い込んでいた高校が私には最高の高校、つまりプラスに変わってくれた。

(終わり)


■3.宋TV出演のお知らせ

BS11「INsideOUT」
2011年8月19日(金)22時〜22時55分

お時間が許せば是非ご覧ください!

(終わり)

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