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メールマガジン バックナンバー 第190号(2012.01.13)

2012.01.13(第190号)

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1.年初の「平凡な日常」(論長論短 No.157)
2.ライフネット生命保険代表取締役副社長 岩瀬大輔さん
連載コラム(第3回)
かまぼこ工場が女川町を救う

3.宋TV出演のお知らせ

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■1.論長論短 No.157

年初の「平凡な日常」
宋 文洲

「ちょっとだけ置かせてくださいね」。足元のカバンから新聞を出すために私は隣座席の人に言いました。しかし、彼のテーブルにコップを置こうとした時に不味いことが起きました。私はその中のコーヒーを派手にこぼしたのです。

垂れるコーヒーをみて焦りました。「申し訳ございません!」と謝った後、すぐ「タオルください!」と添乗員に叫びました。タオルとティシュでテーブルを拭き、椅子を拭き、「脚に付きましたか」と聞きました。幸いにして「脚は大丈夫です」でした。少し安心して「お許しください」と再度謝ってもう一度丁寧に拭きました。

世の中は不思議なもので、実は昨晩にも同じ場面がありました。主役は私ではなく娘でした。

数日前、我が家は足湯の機械を買いました。長いお風呂は疲れますが、足だけなら熱いお湯でも長く浸せて気持が良いのです。私がやり出すと子供達も小さな足を入れ込んできます。テレビを見ながら過ごす時間は至福です。

昨晩も8歳の娘と足湯を楽しみました。終わる頃、彼女が足湯の機械の縁に立とうとしたため、機械が転倒し、大量のお湯が床にこぼれたのです。そのお湯は床一面に流れ込みベッドの下にも広がりました。

びっくりした私が「何してんだ!」と大きな声で叱りました。家内が大量なバスタオルを持ってきて私がそれを使って湯を吸い取りながら「自分のしたことだから早く始末しなさいよ」と茫然としている娘に叫びました。

大人気ない私は作業しながらもさらに一言文句を言ったと思います。しかし、その後、徐々に怒る気持ちが消えて行きました。娘が「私の責任だから全部やります」と言いながら一生懸命作業を始めたからです。

バスタオルを持ってベッドの下に潜りながら「私の体は小さいからベッドの下を任せてください」と娘が言います。途中、ベッドの下から「パパ、私わざとじゃないから許してね」との娘の声が聞こえた時、怒る気持ちよりも「自分が大人気ないな」、「娘への教育は厳しすぎたかな」とむしろ反省を始めました。

自己反省と同時に8歳の娘に尊敬の念すら持ちました。自分の子供の言動に感動を覚えたのは初めての体験でした。何か優しい言葉をかけたいのですが、適切な言葉が見つかりませんでした。

作業が終わった後、自責の念のせいかどうかは分かりませんが、娘は自分の部屋に戻って行きました。家内が様子を見に入りましたが、暫くすると真っ赤な目をして出てきました。「一生懸命漢字の練習をやっていますよ」と。

私も涙が出そうでしたが、我慢しました。新年早々、自分も大切なことを娘から学びました。それは彼女の行動でした。「私の責任だから」という言葉も響きましたが、あの小さな体をベッドの下に潜らせた行動が一番私の心を動かしたのです。

作業が終わって脚を引っ張って外に出した時は、娘のパジャマも濡れていました。彼女はバスタオルと一緒に体も使って水を拭いたのです。その様子を見て「私はちゃんと責任を取っているだろうか」、「私はちゃんと行動しているだろうか」と強く自問しました・・・。

「もしもし、食事がきましたよ」。考え込んだ私の腕に誰かが軽くタッチしました。隣の方でした。さきほどコーヒーを溢された隣の方が私に優しく呼びかけたのです。

皆さま、私の一年はこんな「平凡な日常」から始まりました。

(終わり)

今回の論長論短へのご意見はこちらへ↓
http://www.soubunshu.com/article/245674470.html

宋のTwitterはこちら↓
http://twitter.com/sohbunshu


■2.ライフネット生命保険代表取締役副社長 岩瀬大輔さん
連載コラム(第3回)

かまぼこ工場が女川町を救う
岩瀬大輔

連休を使って訪れた宮城県女川町にて、事業を通じて復興に取り組む一人の同世代の経営者にお会いしました。女川を代表する特産品、かまぼこを製造販売する創業75年の老舗「蒲鉾本舗高政」。四代目の高橋正樹さんは企画部長を務める1975年生まれの36歳です。

女川町は約8割の地域が津波に流され、人口1万60人のうち900人強の方々が死亡ないし行方不明になるという、壊滅的な被害を負っています。高橋さん自身、自宅は2階まで浸水し、祖父で先代社長の政一さんを津波で失いました。

そんななか、同社は奇跡的にも被害を免れました。工場はいくらか損傷を受けたものの、海水は原料が貯蔵された倉庫の数メートル手前で止まり、予定されていた新工場の建設も着工開始が3月15日であったことから生産設備は無事だったそうです。

震災からしばらくの間は町に物資が届かず、町民は食べるものすらない状況が続きます。しかし、震災前夜の3月10日、この日だけたまたま、高政の冷凍庫にはかまぼこが2万個、タンクには100トンの水が貯蔵されていたそうです。
高橋さんたちはこれを皆に歩いて配って回ります。一人一日一個、袋入りの小さなかまぼこしか口にすることはできませんが、それでも人々は大いに救われました。

しばらくすると物資が届くようになりますが、菓子パンのような甘いものしか届かなかったそうです。しかも、それを二人で一日あたり半分ずつして分け合う、という状況。

「あったかくて、しょっぱいものが食いてぇ」

日に日に、弱まっていくお年寄りの姿を見かねた高橋さんは製造機を応急処置で直し、中部電力から緊急電源車両を呼び寄せます。そして地震から9日後には、熱々のかまぼこ10万枚以上を町民に配り始めました。

「温かいかまぼこを口にして、皆の顔に元気が戻りました。やっぱりかまぼこは、女川のソウルフードなんです」

あの日から10カ月。町はいまだ復興からほど遠く、町内に約40軒あった水産加工場のほとんどが操業できないまま。高橋さんの会社は女川町で唯一、被災前同様の生産量を確保する食品工場として稼働しています。

支援金や支援物資はずっと続くわけではない。企業が生き続け、雇用を生むことが将来の女川をつくる。そう信じる高橋さんは、仕事がなかった間も従業員を解雇することなく、ずっとお給料を払い続けました。それどころか、震災前に126名だった従業員を178名にまで増やし、2012年3月までにさらに新入社員を10人以上予定しているそうです。

「俺、経営者としては失格かも知れませんね。でも、人を1人雇えば、4人を食わせることができますから」

取り組みは自社の事業運営だけではありません。旧工場を被災企業4社に貸し出し、女川町の産品を販売するサイトを立ち上げ、女川町への観光バスを誘致し、町内産食品の放射能検査をすべて無料で受け付けるなど、復興の先導役になっています。

「おやじには新工場のために借りた16億円は気にするな、俺が一生をかけてでも返すから。いまはすべてを女川町に還元しよう、そう話しています」

温かい微笑みを見せる一人の同世代の経営者が、人生を懸けて町の復興に取り組んでいる姿に感動するとともに、企業が社会のために果たすべき役割について、深く考えさせられた出会いでした。

最後に。同社が販売する高級かまぼこはお酒のつまみにぴったりだし、贈り物としても喜ばれること間違いありません。今年は例年よりかまぼこを少しだけ多く食べて、女川町の復興を支援してみませんか?共感して下さった方は「女川町 高政」でネット検索をして、同社のホームページからかまぼこを取り寄せてみてください。あるいは、一人でも多くの方に高橋さんのことを知って頂けるよう、メディアなどでご紹介ください。

政治や行政を非難するのではなく、一人一人が自分にできる小さなアクションを取ることで、この国は変わる。私はそう信じています。

(終わり)

ご参考:蒲鉾本舗 高政さんのHPは下記です。
http://www.takamasa.net/


■3.宋TV出演のお知らせ

フジテレビ「なかよしテレビ」
初ゴールデン進出スペシャル〜熱いぜ日中米〜

2012年1月17日(火)19:00〜20:54

お時間が許せば是非ご覧ください!

(終わり)

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