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メールマガジン バックナンバー 第49号(2006.6.23)

2006.06.23(第49号)

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1.法は「悪い人」を処罰するためのものではない(論長論短 No.16)
2.長く勤めることは良いことか(七田真之の北京レポート第2弾 連載4)
3.「反響・反論・反省」

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■1.論長論短(No.16)

法は「悪い人」を処罰するためのものではない

徳のある政治家に頼る統治の限界が見えてきた戦国時代には、法律による統治を実践する首相が中国に現れました。彼は商鞅といいます。

混乱から国を立て直すために彼はいろいろな法律を作り厳格に実行していましたが、その中には政治を議論してはならないという法律もありました。

ある日、商鞅は部下と一緒に町を通過すると、3人の農民が走ってきてプレゼントを差し出して言いました。「これまでの動乱で我々の生活は悲惨でした。法治のおかげで我々はやっと豊かになりました。商鞅さま、ありがとうございました。どうかこれをお受け取りください」。

これを聞いた商鞅はプレゼントを丁重に受け取った上、部下に命じました。
「これらの者は政治を議論する罪を犯したので、辺境での労役に当たる。連れて行け」。好意の感謝を表現したかった3人の農民はかわいそうに裁かれたのです。

今の感覚で考えると、国民の言論の自由も許せない法律は法律と言えるのかと思うのでしょうが、実はもともと法律は民主主義と何の関係もない概念です。
法律は数千年前から考えられた概念であり、民主主義はつい最近の思想です。民主主義は法律の前提ではなく、法律の立法と実行に民の意思を反映させる仕組みに過ぎないのです。

戦国時代の課題は戦乱を治めることでした。孔子は善人が必要だと口説いて歩きましたが、皆が自分こそ善人であり、相手が悪人だと言いました。孔子は秩序のために下が上に従うべきだと訴えましたが、権力者達は民の従順を求め、自分は何にも従いませんでした。

解釈幅の大きい「徳」と「善」による統治の限界を見た人たちはルールによる統治を考え出したのも自然な流れでしょう。戦乱が続いていた当時の社会においては明らかに法治が動乱を収めるのに有効でした。「悪人を処罰し、善人を奨励する」というならば従来通りの恣意的な政治になってしまいます。だから善悪を抜きに「罪」を裁く概念が出来上がりました。

皮肉なことにその商鞅は法を厳格に実行したことで統治者の権益に触れたため、多くの人々の恨みを買いました。結局、商鞅は「謀反」という罪を着せられ、自分が作った法によって処刑されました。

歴史が長い国はその分の重い荷物を背負ってしまうのは運命のようなものです。
中国の歴史を見ていると今現在議論しているいろいろなことはずっと昔からの繰り返しのように見えてしまいます。

「法律は悪人を裁くものではない」。「罪を恨んで人を恨まない」。そんな大昔から法律と罪に対する理想論はいまだに理想論のままです。今の世界はどこでも法律のダブルスタンダードが横行し、罪と人格を同一化する風潮が減りません。

我々人間は人を愛する自由がある一方、人を恨む自由も確かにあります。これは感情という高度な精神能力を持った所詮です。しかし、その恨み自体は我々自身を傷付けてきたことを歴史が繰り返し教えてくれています。

「悪人だから罪を犯す」という「恨み」は「善人だから罪を犯さない」という「愛」と同様に法律の概念にそぐわないのです。こんな単純な道理は感情的になると分からなくなります。

(終わり)


■2.七田真之の北京レポート第2弾 連載4

長く勤めることは良いことか

七田真之


日本での話ですが、新卒の説明会に時々参加します。その中で質問を自由に受け付けるのですが、たまに「御社の離職率はどのくらいですか?」という内容の質問が出ます。定着率によって職場環境の良し悪しを確認するためか、誠実に答える態度を見ているのか、マニュアルにそのような質問があるのか、よく分かりませんが、このような質問は中国では絶対に聞きません。

むしろ逆のケースがあります。こちらは基本的に終身雇用ではなく、1年や2年の就業契約が常識です。一部の社員に1年間から2年間に就業期間を長くするように契約を強化しようとした時の事です。殆どの社員がそれは止めてくれ、と反発しました。2年も拘束するのは長すぎる、というのが主な理由です。長く就業できる条件にすることは良い事だと信じていた自分は甚だ意外でした。日本で正社員の人に対し、今後2年契約に切り替えてくれ、といえば、殆どの人がそれでは短すぎる、という反応ではないでしょうか。私もそう思うでしょう。

「あなたは近々辞める予定があるのですか」と聞くと、「この会社に不満はないし辞める予定は全く無い」と答えます。「では何故2年は嫌なのですか」と聞けば、「会社も自分もこの先どうなるか分かりません。給与が下がるかもしれません。でも2年拘束されてしまっては、給料の低いまま我慢して2年勤め続けなければなりません。それは不合理だからです。」とのことです。

悪く言えば会社を全く頼っていない、帰属意識が無い、ということになりますが、よく言えば徹底的に自立しているということでしょうか。何かがあれば、自分で何とかしよう、そのためには会社と社員と対等に合理的な契約であるべきだ、と考えているわけです。長く勤められる契約というのが、万人に受け入れられるわけではないということです。日本の感覚とは全く逆です。

(終わり)


■3.「反響・反論・反省」

大好きな読者の皆様へ

前回のメルマガでは皆様から大変多くの激励をいただきました。落ち込んでいましたが、皆様からいっぱい元気を頂きました。本当に心から皆様に感謝しております。その中の典型的なやり取りを紹介したいと思います。
宋 文洲


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石井様(仮名)からいただいたメールです。
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宋会長さま
メルマガご担当者さま

いつも楽しくメルマガを拝見させていただいております。今回は、宋会長の率直な文章に感銘を受けましたので、返信します。

私も今までの物言う株主であった村上氏の「発言」自体は正しいし、正論だと思っておりましたが彼が取ったインサイダーに当たる「行動」そのものは誤りであり、間違っていたと思います。

また、今回、宋会長は取材攻勢にたいへんご苦労されたとのことですが、私もTVで拝見しました。他の方々と違って、宋会長は雲隠れされたりせず、取材をお受けになり、TVで見ていて、とてもさわやかな印象を受けました。たいへんお疲れさまでした。

※私自身も村上氏のように「口だけの人」にならないよう、「行動」に気をつけたいと思いました。今回の事件は一つの教訓と捉えております。

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宋からの返信メールです。
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石井さん、

宋です。
心を暖める言葉に本当に感謝しております。とても僕の勇気になりました。実は先日こんなメールが当社の業務問合せサイトに送られてきました。

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お問い合わせ内容
犯罪者、村上を社外取締役に迎えるとは、企業モラルが低いにもほどがある。
日本には日本の文化があり、やり方があるのだ。おまえのところの、ちょんころ会長、日本が気に食わないのならさっさと、貧しい国民性の中国に帰ればいいだろう。たかだか中国人のくせに、偉そうに日本人のやり方を批判するな。
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社員は全員見ていますし、僕としてはとてもやり難い状況です。会社にとっても迷惑かなと思います。

多くの日本人はそうでないと分かっていますが、それにしてもこれまではこんなことはありえないことでした。似たことは当社の掲示板にも書いていますし、タクシードライバーからも言われています。

僕なんか早く国に帰った方がいいかなとこの頃考えたりしますが。

宋 文洲

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石井様(仮名)からの返信です。
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宋会長

お忙しい中、ご返信いただきまして、ありがとうございました。
社員の方々を大事にされている宋会長にとって、とても悲しいメールが届いてしまいましたね。

それにしても、心無いメールを出す人がいるものです。中国人であるとか、日本人であるとか、今回の村上氏の事件ではそんなことは全く関係のないことなのにと思いました。また、文章の中に「貧しい国民性」という表現がありましたが、貧しいのはこのメールを書いた人の心です。自分の心の貧しさにこの方は全然、気付いていないと思いました。

また世の中には、宋会長の成功を妬んでいる人もいると思われます。でもそれは宋会長が中国人だからではないと思います。日本人同士でも、また人種に関係なく、他人の成功を妬む人は妬むのです。私たちは神や仏ではなく人間ですから、その人のレベルでやきもちや妬みそねみ、人を恨んだりしてしまうこともないわけではありません。みんな悪い心といい心の両方を持っていると思います。

でも、できればいい心だけを使って生きていきたいですね。できる限り悪い心の分量を減らして、いい心で生きていきたいです。

>「僕なんか早く国に帰った方がいいかなとこの頃考えたりしますが。」

宋会長が今回のことで中国に帰ってしまわれたら、ソフトブレーンの社員の方々はとても淋しく感じると思います。迷惑だなんて少しも思っていないはずです。また、日本人として同じ日本人に怒りを感じ、恥ずかしくも感じているはずです。
私もそう思います。

どうぞ、心無い人々の言動に、振り回されたりしないで下さい。宋会長はご縁があって日本にお越しになったと伺っております。日本を去る時は、目標を達成して、やりたかったことは全てやってしまい、日本ではもうすることが無くなった時にされたらいかがでしょう?

しばらく世間の逆風が続くかと思いますが、日本ではこんな言い回しがあります。「人の噂も75日」75日経ってしまえば、人はすっかり忘れてしまうものです。今は、柳のようにしなやかに嵐をやり過ごすことが大事かと思います。

今後も引き続き、宋会長のご活躍を期待しております。梅雨時なのでお身体ご自愛下さい。

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注釈:上場企業の取締役は会長の任命ではなく、株主総会の選任であることは、僕を「ちょんころ会長」と呼んだ方はわかっていないようです。今の時点では村上氏はまた容疑者であり、犯罪者ではないこともこの方は理解していないようです。
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(終わり)

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