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メールマガジン バックナンバー 第6号(2004.7.9)

2004.7.9(第6号)

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1.宋文洲の取材レポート「パワードコム 中根滋氏」(2)
2.「ここが変だよ日本のカイシャ」
宋文洲とKFi木村剛氏との対談「激論!日本再生」(上)

3.「責任逃れの成果主義」
―結果には原因がある。その原因こそ成果である―


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■1.取材レポート「株式会社パワードコム 代表取締役社長兼CEO 中根滋氏」(2)
宋 文洲

営業蔑視の文化的背景

カースト制は日本にもあった。江戸時代の士農工商はそれである。「商人は金で魂を売る下卑た者である。金でものを判断する人は人間として一番下」と聞こえる。

日本ではフィナンシャルを中心に意識する経営者は邪道であると言われてきた。

この文化の中で、戦後の企業では一番優秀な人をまず開発技術者にし、それがだめだったらサービス・メカニックにし、両方とも無理であれば最後に営業に回した。

結果的に優秀な人間、考える人間はまず営業には行かない。その裏には「よい物さえ作れば営業がなくても売れる」という哲学がチラチラ見える。「皆が買っているなら私も」という日本人流価値観の単一性もこのような哲学を肯定してきた。

世界一営業の弱い日本を憂う

日本は間違いなく営業の弱い国だと思う。日本企業のビジネス能力の中で最も国際的に劣っているのは営業力だろう。それは日本人が営業に向いていないからではなく、商品力が強くて売れてしまったからである。

しかし、商品力はあくまでも比較論である。中国などが猛烈に物作りで追い上げてきた時、「人はなぜ物を買うか」の本質を知らない人が作った製品が確実に売れなくなる。

いつまでも物作りだけに頼る哲学は必ず行き詰まる。このごろの企業再生には心配である。

物作りの強化とサプライチェンの効率化で業績のV字回復が達成した会社が増えることはとても嬉しいが、誰も営業力を真剣に言わないところに危機を感じる。

お客様はいつも商品価値、営業価値、サービス価値を求めている。そこに気が付くべきだ。

アメリカはなぜマーケティングが強いか。それは商品力が弱いからである。私流の逆説である。物作りを他人に頼っているからである。日本も戦前から商品力があったわけではない。

やがて中国も商品力がついてくる。商品力だけを頼りにすることの戦略的危機は間違いなく訪れてくる。

注意しなければならないのは、商品力に頼る以上、絶対的に顧客を大切にすることはないということである。

良いと思い込んで作った製品でも売れなければ、顧客の都合を無視して売り込まれる。資本効率を重視する「道理」には短期的にはかなっている。心配だ。

(次号に続く)


■2.「ここが変だよ日本のカイシャ」
KFi株式会社代表取締役社長の木村剛氏との対談「激論!日本再生」(上)

(木村氏)今日は、大ベストセラー「やっぱり変だよ日本の営業」を書かれたソフトブレーン株式会社の取締役会長の宋 文洲さんに来ていただいています。宋さんご自身は中国から来られたわけですが、この本のタイトルのように、日本は相当変だと思いますか?

(宋)少なくとも営業に限っては変です。他にもいろいろ変なところはありますが、特にホワイトカラーが変だと思います。なぜかと言うと、まず判断をしないのです。

(木村氏)日本の場合は、結局「判断しなければ、失敗しない。失敗しなければ、出世はできる」と、なんかそういう人が結構多いじゃないですか。

結局、今のリーダーがリスクを取らないので、少し景気が悪くなると「財政出動だ」とか「金融緩和だ」と言っているのです。そうではなく、経営者だったらやっぱり自分で切り拓くべきだと思うのですよ。

(宋)これはどう考えても、良く言えば「相手を思いやっている」ということですが、悪く言えば「責任逃れ」です。もうどうしようもないですね。

(木村氏)でも、ある意味で「どうしようもない」経営者が宋さんの本をたくさん買って、営業の人に読ませているじゃないですか(笑)。彼らが一番「この本の内容はその通りだ」と思っているのは、どういう点だと思いますか?

(宋)経営者、特に良い経営者は、なんとなく自分でも分かってはいるのですが、なかなか日本人同士だとバサッと言わない。それでもバサッと言うと、「お前も同罪者じゃないか」、「お前だって偉そうに言う立場じゃないじゃないか」と言われるのです。僕みたいな、背景もしがらみもない外国人が言うと、意外と皆さん怒らない。

僕は日本に来て感じたのですが、中国人と日本人の一番違いは、日本人は、一般的に優しくてマナーがいいということです。お子さんの教育もしっかりしていますし、思いやりのある子供にしたい、優しい子にしたいと、皆本当にそう思っている。

ところがセールスや営業となると、とにかく売りつけるのです。日本の営業マンには、とにかくノルマがあるじゃないですか。これは、悪く言えば一種の強制です。

つまり、自分が売りたい数字で売ろうとしているのです。こういう方法で売れるのは、2つのケースです。1つは消費者がバカな場合で、もう1つはセールスマンが人を騙す場合です。つまり、売りつける作業になってしまうのです。

(木村氏)お客さまのことを何も考えずに、「俺は売らなくちゃいけない。お前買え」と。

(宋)そう、「いいものだから」と売りつけるのです。でもそれはセールスマンがいいと思っているだけで、お客の立場に立って、それを買うことの意味や、買った後の意味を、上の人がセールスマンに教えていないのです。理解しようともしていない。

そもそも、日本はモノ作りの国ですから、モノを山ほど作れば、これはもう売るしかないのです。日本の戦後の数十年間は、なぜかこういうことが既にカルチャーになってしまっている。

僕は日本という国、民族はこうだとは思っていないのです。これは戦後の現象だと思うのですが、どうでしょうか?

(木村氏)今、宋さんが言ったように、日本人は基本的に優しく思われたい。つまり「優しい」というのは、本当の優しさではなくて、「争いたくない」、という意味の場合も結構多いのです。

ところが、一旦会社に入ってしまった後は、日本語的に言うと「企業戦士」で、「とにかく売るのがお前の仕事だ。客のことは考えなくていい」と変貌してしまう。

(宋)僕にはそれが分からない。日本人は一個人としてはそうではないのに、「企業戦士」になるとガラッと変わる。

(木村氏)結局、日本人は弱いからだと思うのです。日本人って、自分一人で立つという訓練をしない。何故かというと、「争わない」からで、「争わない」ということは心地いいじゃないですか。

本当に受け入れられているかどうかは分からないのですが、「とりあえず自分はあなたを批判しない。だからあなたも批判しないでね」、「本当は違うかもしれないけど、お互いに自分の主張を言わなかったら、それなりに優しい気持ちでいれるじゃないの」みたいに、ぬるま湯的な間隔にものすごく慣れている。

日本人は何かに頼りたいのです。だから日本の会社に入ると、会社に頼ってしまい、言われたことをそのまま鵜呑みにして動いてしまうという面がものすごく強いと思います。

逆に、中国の人は必ず自己主張するじゃないですか。日本はそこの訓練をあまりにもやらなすぎた。

会社というのは何かしら自己主張しないと生きていけないので、「自己主張してこい」、「自己主張=ノルマである」ということになってしまう。「売るまで帰ってくるな」と(笑)。

だから、お客のことを考えずに「これはいいものですから」とセールスをする。いいものというのは、お客さんが決めることで、セールスマンではない。そういうところが無視されてしまう傾向がある感じがするのですが、どうですか?

(宋)全くおっしゃるとおりです。ノルマは自己主張だというのは初めて聞いたのですが、多分そうかもしれないですね。

(木村氏)と言いますか、逆に言うと自己主張が無いのです。自分が何をやればいいかとか、自分が何をやりたいかを考える訓練を、日本人はあまり受けてこなかった感じがするのです。

(次号に続く)

※この対談は、木村剛氏がゲストを迎えて激論を交わす、gooの「フィナンシャル・ジャパンONLINE」の人気コーナー「激論!日本再生」(動画番組)に宋文洲が出演した時のものです。

「激論!日本再生」を視聴する場合はgooのフィナンシャル・ジャパンONLINE

対談内容は、木村剛氏が主催するKFiクラブの会員向けリポートで読むことができます。

■3.「責任逃れの成果主義」
―結果には原因がある。その原因こそ成果である―

成果主義が流行っている世の中。リーダーが結果責任から逃れ、部分責任の部下に結果責任を押し付ける。

気付いたら成果主義が結果主義に摩り替えられている。営業社員の成果は売上ではない。売れるプロセスへの寄与である。

そのプロセスを設計・管理できないマネージャーの下ではそもそも本当の成果主義はあり得ない。

「成功の所に100人の旗が立つ」。6ヶ国語を自由に操り、三井物産の副社長として伝記的な人生を経験した島田精一氏は間違った成果主義の弊害を喩える。(編集部)

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