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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第317号(2016.12.22)

邪魔な感情

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1.邪魔な感情(論長論短 No.284)
2.伝えずにいられない、しまじろうが紡ぐ家族の感動ストーリー
 (Yo-ren Limited CEO 金田修・連載 第8回)

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■1.論長論短 No.284

邪魔な感情

宋 文洲

年末になると早速、来年の予想を聞かれるようになりました。2年前の上海市場の暴落、今年のイギリス国民投票や米国トランプ大統領選について偶然にも私の予想が当たったため、「来年はどうなるか」と聞いてくる方が多いのです。

経済や政治に関する予想は基本的に確率の問題です。天気予報よりもかなり当たる確率は低いのですが、自信満々に「必ずこうなる」と予想する方々が多いのです。外れても外れても予想を行う方の予想は、願望と詐欺の混合物に過ぎないのですが、外れても損しないからいつまでもやめません。

私は投資の都合上、懸命に世の中を観察し、不安でありながらも日本、中国、米国などの主要国の動向を予想するのです。自分の切実な損得にかかわるため、思い込みは禁物です。トランプ当選の確率は50%あると思っていましたが、これはもう相当不確定的です。トランプが勝利と想定して投資することはコインを投げて命を懸けるようなものです。

それと天気予報などの自然界の予想と違って、人間社会の予想はその予想対象である人間が主体として予想を行うため、乗っている箱を持ち上げるような部分があるので予想不可能の側面があるのです。

このことは古代中国では「傍観者清、当事者迷」と表現しているのです。
システムに関わる人間はそのシステムへの判断をよく間違えるのです。
システムと無関係の傍観者の方がよく見えるのです。
日本でいう「岡目八目」でしょう。

これはつまり予想の精度を上げるには関係や感情を持たないことが必要ということです。しかし、無関係や無感情の社会について予想する意欲を持つ人は極めて少ないのです。一番多く予想を行う対象は二種類しかありません。
最も好きな社会と最も嫌いな社会です。だから評論家の予想はコイン投げよりも確率が悪いのです。感情が入っているからです。

予想だけではありません。行動の成果もそれほど情熱と欲望などの感情に依存しません。確かに情熱をもって努力することは目的を成し遂げるにはとても大切ですが、一番大事なのはその目的を達成するための環境と条件がそろっているかどうかです。孫氏がよく「天の時、地の利、人の和」の順で説明したように、人間のファクターはもう最後です。しかも、「人間の和」です。

ここでは個人(リーダーを含む)の意思や意欲がほとんど評価する必要がないほど重要ではないのです。

本当に結果に責任を持つ人は感情を殺しています。感情がないわけではありません。
結果のため、責任のために自分の感情を殺しているのです。

感情でマーケットを評価しても構わないのです。損するのは自分です。実際に自分のお金を張っていないから間違っても平気です。感情が入っているように見えますが、他人に対して無責任と無感情です。

部下を感情で評価するのは確かに気分が良いかもしれませんが、有能な部下が辞めたり、やる気が無くなったりすることで損するのは会社です。
自分は損しません。結局会社への責任と愛情はなく自己愛です。

お客さまを感情で選ぶと確かに商談は楽しくなりますが、新規顧客や利益率の良い顧客が少なくなります。その結果として会社の業績が低下し、自分も早晩悪い影響を受けます。

本当に感情の無い人は存在しません。結果と目的のために自分の感情を殺して世界を予想し部下を評価し顧客を開拓するのはリーダーであり、成功する人です。

年末に際して一年を振り返って感無量な方も多いと思いますが、思い切り忘年会などで感情を爆発させて来年の感情コントロールのためのエネルギーを蓄積しましょう。

(終わり)

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■2.Yo-ren Limited CEO 金田修・連載 第8回

伝えずにいられない、しまじろうが紡ぐ家族の感動ストーリー

金田 修

今回は第6回のユニクロに続きデジタルの変化を捉えて中国でNo.1になった日本ブランドのベネッセホールディングスのしまじろうのお話です。

先週の12月12日、ベネッセのしまじろう会員が中国参入10年目にして100万人を超えたことを祝う祝賀会があり、2014年からソーシャル領域のデジタルコミュニケーションをお手伝いさせて頂いている僕達yo-renも参加させていただきました。中国においても基本のビジネスモデルは、日本と変わらず「月額固定で一定の長期間契約」を前提として、毎月会員宅にDVDや絵本、知育・しつけに資する玩具が届くというものです。

競争の激しい中国ですから、同様の事業モデルは数十社が挑みましたが、現在しまじろうと同じ月額固定モデルでアクティブ会員を10万人以上抱える早期総合教育サービスは存在せず、事実上の一人勝ち状態となっています。実際に昨年複数の主要動画再生サイトで放映が開始された「しまじろうアニメ」は7億回も再生され、中国の子供が大好きなキャラクターとして「しまじろう」はすっかり定着しました。

ここ最近のわずか3年で会員数は2倍強になり、同時に公式会員への窓口ともなるWechatの公式アカウント会員数も数万人から70万人を超えるまでに増大しているのを見ると、近年のデジタルメディア変化の波を捉えていることは間違いありません。何かというと、ソーシャルメディアが進化してくれたお陰で、お客様がどんどん友達を紹介してくれているのです。

現時点で、新規会員の半分は明確な友達紹介、間接的なものも含めると70%が友達紹介経由の入会ということです。実際Wechatの公式アカウント上で調査をしても、フォロワーの2割以上は、有料会員になる前に友人経由などでまずこのアカウントで自ら情報を確認しています。

なぜこうしたことが起こるのか。中国では、これだけ力のあるプラットフォームになると、何億人にも届く無料モデルにして、企業広告や企業協賛に頼るモデルに転換するのが一般的です。その方が顧客数にインパクトがあり資金調達もしやすく、会員が全土を覆えばネットワーク効果で競合を抑えこむことが出来ますし、BtoBの収入の方が確実性が高いからです。あえてその道を追わず、中国でも自社コンテンツの強化にこだわり、サービス受益者がお金を払いたいと思うクオリティにこだわって一歩一歩地道に拡大していることが、一人勝ちの本質的な理由だと思います。

企業収入を目当てにした無料コンテンツでもPV(アプリの閲覧数)が重要であることは変わりありませんが、どうしてもすぐ読んでもらえるもの、今クリックに繋がるものという視点が重要視され、ビジネスが刹那的になることは否定出来ないからです。

実際にマーケティングの責任者にお話を伺うと、ベネッセの幼児向け事業における思いは、「子どもの成長の瞬間、子育て期間の親子の幸せな時間をどう増やしていくか」に尽きるが、中国ではそうした幸せな自身の体験を共有したいという国民性と、Wechatによる共有メディアの進化が組み合って、ベネッセの思いをユーザーが勝手に拡散してくれている、とのことです。

もちろん、SNS上での情報共有を促すアプリやWechat上での共有が会員化に繋がる様々な実験を継続的に行って、時流を逃さないように耐えず変化を厭わないことも、圧勝の影にあって無視できないと思います。

冒頭の祝賀会の最後には、親子の幸せな時間を作ることに拘るブランド提供価値を可視化した映像が流れ、社長はこれを何度も見た今でも涙すると仰っておられました。事業モデルまで本当にその精神から乖離していないからこそ流れるのだと思いました。

日本企業は変化の早い中国デジタルマーケティングで勝つことは難しいのではないかという見方も多くありますが、1人の人を感動させられれば何百人もがそれを自動的に目にするというデジタル時代の本質がより強く早く現れる中国は、感動を生み出す自信のあるブランドにとっては、取り組まずにはいられないマーケットだという好事例だと思います。

(つづく)

金田さんが創業したYo-ren LimitedのURLはこちら↓
http://yo-ren.com/ja/

(終わり)

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