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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第281号(2015.08.07)

中国人が日本の安保法案をどう見るか


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1.中国人が日本の安保法案をどう見るか(論長論短 No.248)
2.発展する中国の南極観測
  (福西浩 東北大学名誉教授 連載「南極~フロンティアへの挑戦」 最終回)

3.宋TV出演のお知らせ(フジテレビ「みんなのニュース」)

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■1.論長論短 No.248

中国人が日本の安保法案をどう見るか
宋 文洲

中国人で日本の安保法案について関心を持つ人は少ないのが実情です。
中国政府の意向があるかどうかは不明ですが、関連報道自体が少ないのです。
私も含めて一般中国人にとって歴史問題に絡んでいない日本の内政なので日本国民が決めればいいのです。

しかし、これだけ訪日中国人が増えたので日本の内政に関心を持つ人も自然に増えました。7割の日本国民が安保法案に反対している調査結果に一般中国人は羨望を込めて「日本は確かに民主主義国家になった」と再認識したようです。

特にSEALDsや高校生などの若者の反応が中国のネットでも話題になり、「コスプレ、漫画、ゲームに夢中で、社会問題に無関心」という日本の若者へのイメージも変わり始めました。

そんな中、安倍首相が名指しで中国を安保法案の対象だと言い出したことについて、中国の激しい反応を心配しましたが、記者に問われた中国政府スポークスマンは「日本は戦後の平和主義を堅持してほしい」と意外にも淡々と答えました。

一部の中国メディアは安倍首相が中国脅威を煽ると報道しましたが、だいたいのメディアは「安保法案を通すために中国脅威を煽る必要に迫られている」と理解を示したほどです。

中国人の私が日中関係を評論する時、日本人コメンテーターと同じことを言っても「中国人だから」という先入観を持たれるので誤解をされることがありますが、仕方のないことです。正直、歴史問題以外は、中国人のほとんどは日本に対して良いイメージを持ち、日本のマイナス話題に関心を持たないのです。ゆえに日本のマイナス情報がニュースになり難いのです。

テレビ番組でもよく言いましたが、私は日本の憲法改正に賛成です。自国が自国の憲法を制定したり見直ししたりするのは当然のことです。しかし、憲法は一旦形成した後、すべての法律がそれに抵触してはならないのもまた基本です。こんな常識を知りながらも、大半の国民と殆どの憲法学者が憲法違反だと認識している中、強引に憲法違反の法案を通す政権は民主主義の弱点を利用しているようにしか思えません。日本国民もそれを感じたからこそ反対したはずです。

「そのうち忘れるから」、「強引にやらないと何もできないから」、「世論は誘導すれば変わるから」という言い訳が多いのですが、これこそ民主主義に反する独裁発想であり、自分が国民より正しいという傲慢です。

民主主義体制の下でも独裁が有り得ることはナチスドイツが教えてくれました。
選挙を経て政権を取り、国会の圧倒的多数を制してから憲法も体制も変えて独裁に走る歴史事例は枚挙に遑がないのです。

「民主主義は時間はかかるが、国民の支持を得てその長期的安定性を保つ。」
これは中国国民が羨む体制です。憲法を変えることも安保法案を通すことも日本国民は恐れていないと思います。時間をかけて充分な議論を通じて日本国民が同意すれば、それに何の問題もないのです。

私的趣味に合うように、先祖伝来の「憲法改正」の結果に燃え、民主主義の基本であるプロセスを無視するようでは、日本の将来を担保する良い憲法を作れる訳がありません。日本国民はそんな私欲を見透かしているからこそ反対しているのでしょう。

(終わり)

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http://www.soubunshu.com/article/423695679.html
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■2.東北大学 福西浩名誉教授 連載「南極~フロンティアへの挑戦」 最終回

発展する中国の南極観測
福西 浩

私は、2007年4月から4年間、北京に滞在しました。日本学術振興会が日中学術交流と大学交流を促進するために北京にセンターを開設し、その初代センター長となったからです。この期間の中国は、経済の急成長に歩調を合わせて科学技術予算も急成長していました。

日本学術振興会は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる学術研究のための国の競争的研究資金(科研費)を大学や研究機関の研究者に公平な審査によって配分する組織です。中国は、日本のこの制度を参考にして、国家自然科学基金委員会が競争的研究資金の規模を拡大していました。

2007年度の予算規模は日本の1900億円に対して中国が約43億元(約670億円)だったのに、2014年度は日本の約2300億円に対して中国が約190億元(約3300億円)と逆転しました。

日本の伸びが1.2倍だったのに対して、中国はたった8年で約5倍(毎年20~30%増)という驚異的な拡大を続けています。私は中国に住んで、初めて中国の科学技術にかける意気込みと発展のスピードを深く理解することができました。

南極観測について言えば、中国は日本に28年遅れて、1985年2月に南極半島北方のキングジョージ島に長城基地(62.2°S, 58.9°W)を開設しました。
この島には8カ国が越冬基地を置き、毎年多数の観光客も訪れる南極でも比較的行きやすい場所です。

この年に私は第26次隊越冬隊長を務めましたが、日本の南極観測を学ぶために中国から高登義氏と李果氏の二人の科学者がオブザーバーとして夏期間だけ私の隊に参加しました。その後、中国は1989年に中山基地(69.4°S, 76.4°W)を、2009年に崑崙基地(80.3°S, 77.1°E)を、2014年に泰山基地(73.9°S, 76.9°E)を開設しました。さらにロス海ビクトリアランドに第5番目の南極基地を建設しようとしています。

日本も昭和基地の他に、みずほ基地、あすか基地、ドームふじ基地と全部で4つの南極基地をもっていますが、基地の配置や運用を見ると日本と中国の南極に対する考え方の差がよく出ています。日本は昭和基地をメインに、ここから物資補給ができる範囲に3つのサテライト基地を建設しましたが、現在越冬観測を行なっているのは昭和基地だけです。

これに対して、中国は南極大陸全域を対象にした配置になっています。特に驚くのは崑崙基地で、ここは南極到達困難極と呼ばれ、南極大陸で最も高い地点(海抜4087m)で、最低気温は-90℃にもなります。そこで、これまでどの国もここに基地を建設することができませんでした。

南極には3つの極があります。地理的な極(南極点)、地磁気の極(南磁軸極)、そして到達困難極です。それぞれに、アメリカがアムンゼン・スコット基地を、ロシアがボストーク基地を、中国が崑崙基地を建設しました。大国と言われる国はそうした特別な地点に旗を立て、基地を建設し、その設備を各国の研究者に提供することによって国際貢献しようとしています。

日本の昭和基地は、観測設備に関しては各国の南極基地の中で最も充実していますが、国際交流は十分には行われていません。そろそろ日本も南極を舞台に、南極観測を始めたいと考えているアジアの国々のために新しい基地を建設するなど、本格的な国際貢献をする時期に来ている気がします。

(終わり)

執筆者:福西 浩(東北大学名誉教授)

東京都出身、東京大学理学部卒、同博士課程修了、理学博士。米国ベル研究所研究員、国立極地研究所助教授を経て、東北大学教授として宇宙空間物理学分野の発展に努める。南極観測隊に4度参加し、夏隊長や越冬隊長を務める。
2007年から4年間、日本学術振興会北京センター長として日中学術交流の発展に尽す。2011年から3年間、東北大学総長特命教授として教養教育の改革を推進する。専門は宇宙空間物理学で、主に地球や惑星のオーロラ現象を研究している。現在は、公益財団法人日本極地研究振興会で南極・北極観測の支援と研究成果の普及・教育活動を推進している。

公益財団法人日本極地研究振興会ホームページ:http://kyokuchi.or.jp/

(終わり)


■3.宋TV出演のお知らせ

2015年8月14日(金)15:50~18:57
フジテレビ「みんなのニュース」
http://www.fujitv.co.jp/minnanonews/

お時間合えば是非ご覧ください!

(終わり)

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