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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第271号(2015.03.20)

せめて経済活動くらいは・・・


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1.せめて経済活動くらいは・・・(論長論短 No.238)
2.ビジネスチャンスを導く日本とセネガルの共通点
  (アフリカ商会代表山田一雅さん 連載 / アフリカ大陸最西端、セネガルの「今」)


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■1.論長論短 No.238

せめて経済活動くらいは・・・
宋 文洲

ここ数日、世界はアジアインフラ投資銀行を巡るニュースで賑わっていました。
イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどの先進国も参加を表明したからです。特に先頭を切って参加を表明したイギリスに対して米国が珍しくこの「必然の同盟国」(Natural Ally)を厳しく批判したのです。

このニュースで私は昨年の日中経済人会合の体験を思い出しました。この会合に同友会の会長や大手銀行の頭取をはじめ、経済学者も参加しています。民間が日中経済協力を促進するための会合なので双方の姿勢に興味を持ちました。

中国人の経営者や学者は日本の環境保護、食品安全および技術開発に強い関心を示し協力を求める姿勢に対して、日本側の方々の関心事はもっぱら(1)中国のシャドーバンクなどの金融バブルはどうなるか(2)中国の格差問題はどうなるかなどの問題点に集中しました。

一番中国側が困った質問は日本政府にもアドバイスする某学者の質問でした。
「アジア開発銀行があるのに中国はなぜアジアインフラ開発銀行を設立するんですか」と言うのです。中国側に金融機関のトップや専門家が居なかったため、答えは思い切り的を外れました。
「借りる側にとって銀行は増えたほうがいいです。違いますか?」

学者先生はがっかりしたでしょうが、私はこの時はじめて中国がアジアインフラ銀行を設立する動きを知りました。

中国は改革開放以来、大変、アジア開発銀行(ADB)のお世話になっています。
100億ドル前後の融資枠の1/3は中国向けの融資です。また、中国は主要メンバーとして日本の15%、米国の12%に続き6%の株主にもなっています。

しかし、30年間で中国経済の規模は数十倍にもなり、この間、インドを含むアジア諸国の経済規模も数倍や十数倍になりました。100億ドルの融資はとてもニーズに応えられないものになりました。また、ADBは設立当時からアジアの「貧困解消」に理念の重点をおいてきたため、桁違いのインフラ投資にとって焼け石に水という感じでした。

インフラ整備を急ぐアジアの国々に対して資金の余裕が生じた中国が過去の経験を生かし、彼らと共同で金融機関を作ることはまさに市場の必然であり、素人の私も頷きます。

もしADBがこれらのニーズに応えているならば、貸出先がないのに、中国は新しい銀行を設立するほどビジネス感覚に欠けている訳ではありません。
借りるアジアの諸国も貸す側のサウジアラビアやイギリスなども参加するはずもありません。ベンチャー企業の創業も同じ理屈です。新しい企業が成り立つのはニーズを発見しそれに応えているからです。

本来、日本はアジアで一番早く近代化を達成した国として自らADBを改革する立場にあります。既存体制のしがらみでできない場合、中国などに呼びかけて新しい銀行を作っても良かったのです。素人が見ても規模が数倍や数十倍にもなった市場には桁違いの融資が必要です。それにリスクを感じると日本政府は言いますが、それこそ他の国に呼びかけて共同でリスクを分担する理由にもなるのです。

経済の自由化とグローバル化など、この理念を高らかに唱えてきた米国がプライドを捨ててイギリスの参加を非難するところは奇妙でした。その理由も経済的ではなく「中国に甘い」「同盟を乱す」という嫉妬と幼稚に満ちているから世界が失笑するのです。

日本はせめて経済活動くらいは米国から独立すべきです。

(終わり)

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http://www.soubunshu.com/article/415895065.html
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今までの論長論短はこちら↓
http://www.softbrain.co.jp/mailmaga/list.html

■2.アフリカ大陸最西端、セネガルの「今」

ビジネスチャンスを導く日本とセネガルの共通点
アフリカ商会代表 山田一雅

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【忙しい方のための3行まとめ】
・セネガル人は日本のおもてなしのような「テランガ」という精神を持つ
・セネガル人は独立以来クーデターの無い自国の「平和」を愛しそれを誇りに思っている
・距離は遠いが平和を愛する心や人の優しさという点で2国はとても似ている

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宋メールの読者のみなさま、おはようございます!
アフリカ商会の山田一雅です。
連載3回目の本日は、日本との共通点の多いセネガルへの理解を深めるために欠かせない「テランガ」の精神と「平和さ」について記します。

<「テランガ」の精神とは?>

セネガルでは、困った時は当然のように助け合うという「テランガ」の精神が根付いています(日本の「おもてなし」「お互い様」の精神に似ています)。
連載2回目で記したバスの話はその典型といえます。

セネガルの人達は、自分の国をフランス語と現地語を交えて「Le Pays de la Teranga(テランガの国)」と呼び、それをとても誇りに思っています。また、受けたご恩はとても大切にします。私が生活していて、セネガルの一番良い所だと感じるのは、このテランガの精神です。
(余談ですが、バスでは乗車料金回収係にお金を払うための「お金リレー」が行われています。人々が互いに信頼し合っているセネガルだからこそなせる業です。ちなみにバスは以下の写真のような感じです。)
http://goo.gl/aiCfeU

そして重要なのは、この精神はセネガル人同士だけでなく、外国人に対しても同様に考えるという事です。つまり、観光客はもちろんですが、ビジネスを行うために現地で生活・滞在・渡航する外国人(=日本人)にとって非常にありがたい文化であると言えます。

加えて、セネガルでは青年海外協力隊で知られるJICA(フランス語読みで「ジカ」と発音します)の認知度および活動に対する評価は高く、セネガル人は日本人に良い印象を抱いてくれているようです。
(2015年1月16日の在セネガル日本国大使 北原氏のスピーチによると、現在セネガルは青年海外協力隊員数が世界最多の国であるとの事です。)

<私自身のテランガ体験談>

テランガに関しての私自身の体験を述べますと、セネガルにきた当初、私は住居が見つからずに困っていました。そんな中偶然入ったインターネットカフェで出会ったセネガル人のSさんに相談をしたところ、なんとその翌日から数か月間、Sさん家族と一緒に生活をさせていただきました。

ホームステイ初日は、「昨日知り合った人の家にいきなり行って本当に大丈夫なのだろうか?」と少し不安に思いましたが、Sさん家族はそんな私の不安を一瞬で消し去ってくれました。私をまるで昔から一緒に生活している家族の一員のようにとても暖かく迎え入れてくださったのです。

Sさん家族と皆で過ごす日々は、異文化に触れた驚きや発見の連続でとても刺激的で、「この素晴らしい経験を色々な方に伝えたい」という思いから、私はホームステイ先のご紹介を始める事にしました。
(以下の写真は、私の友人が日本からセネガルへ到着後にSさん宅に来た時の様子です。左から順にSさんの奥さん、友人、Sさんのお子さん、Sさん。)
http://goo.gl/y9p0N4

<Le Pays en Paix(平和な国)>

セネガルは1960年の独立以来クーデターが無く、民主主義を確立して安定した西アフリカの大国という地位を築いてきました。セネガル人も、自国が平和で治安が良い事に誇りを持っています。セネガルの平和を形成している要因として、「宗教対立が起こりづらい」「飢餓に苦しむ人が出にくい」ということが挙げられます。

国民の94%以上がイスラム教徒で、それにキリスト教徒が続くのですが、まずイスラム教徒が教義に対して寛容です。女性は肌の露出の多い洋服を着ていますし、一部お酒を飲む人もいます。また、イスラム教徒でも教育のためにキリスト教徒の学校に通ったりする事もあり、イスラム教徒とキリスト教徒の仲も良いのです。

また、セネガルは統計データを見ると貧困率が46.7%(※)と高いですが、飢えに苦しんでいる人を見かける事はありませんし、お金に対してのギラギラとした欲望を目の当たりにすることもありません。これは、イスラム教徒の義務である喜捨に前述の「テランガ」の精神が加わり、困窮者がいたら周囲の人が助けてくれるからのようです。

(※参考)
貧困プロファイル セネガル「図表 2 地方別貧困率、貧困ギャップ 2011年」
http://www.jica.go.jp/activities/issues/poverty/profile/ku57pq00001cu1nq-att/sen_2013_Jreport.pdf

このようなセネガルの状況は、アフリカの一般的なイメージとは異なる部分が多いのではないでしょうか。もちろん過信は禁物ですし現地の文化を尊重する(例:すれ違う人とは挨拶を交わすよう努める)という当たり前の意識は必要ですが、セネガルにおいては、治安上のストレスをほとんど感じることなくビジネスや生活ができます。

<平和を愛し、人を思いやり助け合う--日本とセネガルは共通する部分が多い>

世界に誇る平和憲法を有する日本、1960年の独立以来クーデターと無縁なセネガル。おもてなしやお互い様の精神のある日本、テランガの精神のあるセネガル。平和を愛する心、人の優しさ、温かさという点で2国はとても似ています。

日本とセネガルの距離は約14,000kmもあり、地位的にはとても遠い国といえます。
しかし、その距離をものともせず、日本はセネガルにおいて、長年の援助や開発により十分存在感を発揮し、強固な信頼関係を有しています。その素地を活かす事で、今後はビジネス面でも2国間の関係性を深めていく事ができるかもしれません。

(つづく)

<連載へのご意見やアフリカ進出のご相談など、何でもお気軽にご連絡ください↓>
africa.shokai@gmail.com
https://www.facebook.com/messages/1617567685141812

<筆者について>
山田 一雅(アフリカ商会 代表)
アフリカ商会 Webサイト:http://africa-shokai.jimdo.com/
アフリカ商会 Facebookページ:https://www.facebook.com/africa.shokai

セネガル在住。
日本企業のアフリカビジネスの支援(市場調査などによる情報提供、営業代行)や個人向けにアフリカでのホームステイ先の紹介を行っている。
ハラル・ジャパン協会(http://www.halal.or.jp)セネガル支局長。
趣味は野球。千葉県出身(八千代市、佐倉市)。

(終わり)

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