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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第337号(2017.10.13)

魅力より快適

投資の経験を持つ方なら実感で分かると思いますが、同じ金額でも儲かった時の愉快な気持ちよりも、損した時の嫌な気持ちのほうがずっと大きいのです。心理学者の研究によればそのインパクトの大きさは後者が前者の3倍にも達するそうです。

分かりやすく言えば、人間は100万円儲かった時はうれしいですが、100万円損した時の悔しさや落ち込みは3倍ほど大きいのです。これがボラティリティの大きい金融商品が嫌われる理由でもあるのです。つまり、損得が激しい取引は例え最終的な利益が多くても、人間はその過程で多大な心理的コストを払わざるを得ないため、敬遠されるのです。

今日は投資の話をするわけではありません。この「三倍原理」を使って人間同士のお付き合いについて考えてみたいと思います。

ある人と1時間ほど会話するとしましょう。その人は地味な人でユーモアな話、面白い話、示唆に富んだ話、珍しいニュース、洒落た、つまり印象に残るインパクトのある話が一切出なかったとしましょう。

これと逆にもう一人の人は大変印象に残るタイプの人だとしましょう。ユーモアで物知りで熱意をもって語ります。しかし、会話の中で一回だけですが不快なことを言われたとします。

一回で終わる話ならば、どちらの人でも別にかまいませんが、今後繰り返し長いお付き合いしなければならない場合、間違いなく前者のほうが快適になると思います。特別に洒落たことを感じませんが、快適に付き合える人間と、面白いことを言えるが、時々不快にさせられる人間のどちらがいいかと言えば、間違いなく不快にならない人間と長いお付き合いをするでしょう。

これを男女関係で言えば、不快にさせられる洒落た美人は愛人に適するが、静かで快適にさせてくれる普通の女性を奥さんにしたいと考える男性は多いと思います。

外見が良くて外交的な女性が居るとします。この人は1時間の会話の中でだいたい一回くらいのペースで人を不快にさせるようなことを言います。もちろん人によって不快かどうか、あるいはその不快に感じる度合いは異なりますが、問題は人を不快にさせていることに気付かないことです。

軽いお付き合いならともかくとして親友になることや家族になることは難しいでしょう。親友や家族とはわくわくすることではなく、安心して快適にそして静かに一緒に過ごすことが一番大事です。週一回、あるいは月一回大喧嘩するような相手とは、長く続かないのです。

日本も中国も夫婦について「喧嘩するほど仲がいい」という説がありますが、これはたぶん本当の喧嘩を指していないと思います。あるいは喧嘩する夫婦の仲を取り繕うための誤魔化しだと思います。

「三倍原理」によれば毎月一回でも不快な喧嘩をすれば積み上げてきた幸せな記憶を全部破壊してしまうだけの威力があります。特に喧嘩の尾を引く相手だともう苦痛の記憶しか残らないはずです。

この頃なかなか結婚しない人が増えていますが、ある意味分かります。長年一人暮らしに慣れた人にとって確かにつまらない時や寂しい時もありますが、一人でいれば不快なことはまずありません。慣れない人、特に不快にさせられる人と一緒に過ごすことはたいへんリスクを感じてしまうでしょう。だから結婚は若くて人間関係について無知のうちにやってしまわないとなかなか面倒なことになるでしょう。

男女だけではありません。よく観察してみると魅力的な人よりも感じの良い人、つまり嫌味のない人はよく集まりやパーティーに誘われるのです。一見存在感の無い人だと見られてしまいますが、長い目で見ると定期的に人を不快にさせる人よりずっと他人に良いイメージを与えています。

結婚相手を探す時も社員採用する時も、人間は相手から魅力を探そうとしますが、長いお付き合いするならば、魅力よりも不快をさせられないことのほうがずっと価値があるのです。しかし、これは一目惚れや面接では、分かりません。

また。子供の教育においても、人に好感を与える教育よりも、不快を与えない教育のほうがもっと子供の財産になるでしょう。まあ、前提は親がそのことを分かった上で、自分も実践できることですが。

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