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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第338号(2017.10.27)

私が中国共産党をどう思うか

この質問は日本の方々によくされます。私の答えはいつも同じです。「どうも思わないのです。」

誤魔化しているわけではありません。共産党大会の開幕にも閉幕にも興味がありません。政府系のマスコミは共産党大会のあれこれを報道していますが、それは政府系だからです。庶民がほしいニュースはWeChatなどのSNSにあります。

日本のマスコミや欧米のマスコミも熱心に報道するので共産党大会に興味がなくてもいろいろな情報が目に入ってしまいます。その中で一つ二つ私が興味を持った情報を紹介したいと思います。

私が一番印象に残ったのは大会に参加している友人から送られてきた習近平の報告書の日本語バージョンです。たぶん「お前は日本語が読めるから見てよ」という意味でしょうが、私はむしろ、「えっ、日本語の他には何語があるのか」を知りたくなりました。

調べたところ、日本語の他にアラビア語、ブルガリア語、英語、フランス語、ドイツ語、ラオス語、ロシア語、スペイン語の合計9か国語のバージョンが用意されていました。しかも、それぞれの言語バージョンの担当者の名前とプロフィールとコメントも公開されています。皆はその言語を話す国の方々です。

日本語バージョンの担当は岩崎秀一さんでした。「五年間一番感じた変化は環境保護方面でした。2012年に北京マラソンに参加した時、空気はとても淀んでいましたが、近年明らかに変わってきました。今年もマラソンに参加しましたが、ここ数年で最もよい空気と感じました。」

私は共産党大会がいつからこうして世界の主要言語で大会報告書を発行するようになったかは知りませんが、多言語への対応、外国メディアへの対応及び傍聴席の開放を見てその開放性と透明性にショックを受けました。

中国共産党の党員は約9千万人います。偶然にもこれが日本の有権者数とほぼ同じです。彼らは全国に組織を持ち、選挙を通じて代表を選び、5年に一度北京に集まり、党大会を開催するのです。一党独裁と言えばその通りですが、こんな巨大且つ強力な組織はなかなか世界に存在しません。

ずっと一党独裁なので優秀な人材が集まります。そうすると「俺が、俺が」という人間の本能が発揮され党内闘争が熾烈なものになります。(小泉さん以前の自民党と似ていませんか?)国の方向から代表する地域の利益まで相違がぶつかり合いながら最終的に政策に収束していくのです。それがバランスと妥協のプロセスであり、民主主義のプロセスでもあるのです。こんな巨大な組織がよくも効率よくまとまるなと正直、信念や思想と関係なく思わざるを得ません。

おまけにずっと与党でいると逃げ場がありません。綺麗事を言っても結果が出なければ信用を失うことになります。我々中国人は国のトップを選ぶ選挙がないからということで可哀そうだと思う日本人も多いでしょうが、豊かな生活と比較的自由な生き方ができれば、誰が政権をやってもいいと思うのです。逆にいくら選挙や民主主義と言っても生活が悪くなっていくと暴動や革命を起こすのです。我々はもともと宗教やイデオロギーに執着がないのです。

中国共産党がそれをよく知る政党です。1949年に国民党政府を大陸から台湾に追いやり、地主から土地を奪い貧しい農民たちに与えるような違法行為をしました。しかし、9割の国民を喜ばせる違法行為なんかは違法ではなくなるのです。人民が暴動や内戦を通じても法律とそれを作った政府を一緒に変えてしまうのです。米国も内戦を通じて今のような社会になったことを忘れてはいけません。

共産党政権はそろそろ70年たちます。文化大革命や天安門事件などの失敗と挫折があっても中国という巨大な史上最大の国家を100年の没落からもう一度繁栄の軌道に乗せたのは事実です。

「本来を忘れず、外来を吸収し、未来に向かう」。9か国語で世界に公開された共産党大会の報告書にある言葉です。人民のためという「本来」、学ぶべき「外来」と向かうべき「未来」を大切にしてくれれば、我々にわざわざ中国共産党を倒すメリットはありません。政治には嘘が満ちていますが、結果には嘘がありません。

戦後教育と戦後体制に洗脳されてきた日本人にしてみれば、今日の文章にもたくさん反論したいと分かっています。正直、私もこのような文章を中国人向けに書きません。媚びを売るように見えるし、中国人の思考を刺激することはできません。

日本人の皆さんは中国の体制について考える際、まず自分の歴史である「本来」を忘れず、自分が受けた「外来」を考え、自分の「未来」に目を向けるべきです。(他国ではなく)

敗戦後の日本は主権も存在せず、米国に今の政治システムを押し付けられました。その代わりに日本は米国から無条件に技術、経済の支援を受け、豊かな国になりました。プロセスはどうであろうとよかったと思います。

しかし、もし日本が米国のコピーではなく、自国民同士の激しい論争と対立(場合によって内戦)を通じて独自なシステムを模索したならば、今の日本はもっと不幸になったと思いますか?

YESと答えた人は日本と日本人の能力と可能性を否定しています。NOと答えた人は私と同じ考えですが、「中国はそうしている」とお忘れなく。

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