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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第305号(2016.07.08)

元恋人の恋愛現場に居座れる

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1.元恋人の恋愛現場に居座れる(論長論短 No.272)
2.グローバルビジネスの基盤を支えるコード管理とその重要性
 (東京商工リサーチの河原光雄社長・連載 第5回)

3.宋文洲TV出演のお知らせ

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■1.論長論短 No.272

元恋人の恋愛現場に居座れる
宋 文洲

世の中にいろいろな方がいらっしゃるのでこの質問に「はい」と答える方は当然いるでしょう。私の場合は別れたとはいえ、元彼女が目の前で他の男性といちゃいちゃしているところを見たくないので見えるところに絶対いないようにします。

先日、ソフトバンク孫正義社長(58歳)が「急に淋しくなった」と言って宣言していた社長交代を撤回しました。「自ら経営の一線から引退する、いざその時期が近づくと、やっぱりもう少しやっていたいという欲望が出た」と心情を吐露しました。

孫さんの率直さと素直さに感心しますが、改めてカリスマ経営者であっても経営者と企業との関係においては普通の人間心理に左右されることに安堵を覚えます。

思えばもう一人の素晴らしい経営者ユニクロの柳井さんも同じことをやりました。
それもたったの10年前でした。玉塚さんを社長に選び、自ら引退を宣言した柳井さんは見事に我慢できず社長に戻ってしまいました。その時の説明は今回の孫さんほど素直ではありませんでしたが、たぶん状況も心情も瓜二つでしょう。

長く経営をやっている経営者友人の多くは引退の夢を語ります。しかし、その語った通りに辞めた人は極めて少ないのが現実です。特に自ら引退の時期を決められる立場にいる経営者は殆どと言ってよいほど、語った通り計画した通りに引退していません。

いろんな我慢と苦労をしてあれだけ大きな業績を残した人がなぜ引退に関しては自分の意思に従えないのかと悩んでいたところ今回の宋メールのタイトルを思い付きました。

経営は基本的にルールがあります。市場性のある事業に合理的なコスト構造で投資していけば、基本的に事業が成り立つのです。その時々の顧客を満足させ、従業員に良い職場を提供し、利益を株主に還元すれば企業は無限に続けられます。

しかし、経営者は無限に続けられる人はいません。そのことが分からない経営者はいません。分かっているからこそ、会社に未練があるからこそ、自分の後の体制を心配してしまいます。

そのため、殆どの経営者が思い付くことは愛している企業のために良い後継者を探すことです。孫さんもこのために米国に通って高い報酬でインド人の後継者を口説きました。入社後は「毎日一緒にいる」という相思相愛状態でした。

ではなぜ1年余りで孫さんはこうにも大きく変わったかといえば、それは孫さんの後継者選びが間違ったからではなく、「いざという時」の自分の人間心理とその対処法が分からなかったからでした。

会社に多くの仲間と膨大な財産(株式など)を残しながら辞めていくのはとても難しいことです。「愛着と責任」と綺麗ごとを言う経営者も多いのですが、辞めて行く経営者は急に一人の普通の人間になってしまうため、孤独を感じてしまうのです。もし会社の多くの株を所有しているならば、自分の納得できない経営が行われた場合、損した気分にもなるのです。

日本社会は所属している組織の大きさとその組織における立場で人間を見るため、多くの部下や取引関係者から神様のように扱われてきた人間が、会社に行かず、仕事関係者と合わず、個人として行動するには大変な恐怖と不安を覚えるはずです。
彼らは何十年にも渡って個人として生きた経験を持っていないからです。

そのために死ぬまで会社に何らかのポストを残し、いつでも会社に行けるようにするのですが、結果的に毎日通うことになってしまいます。また毎日通うと次期社長の経営現場や次期社長に気を遣う元部下達の眼差しが見えてしまうのです。
愛していた事業と部下が冷遇に遭うことも目に入ってくるのでしょう。

こういう現場を一年も見続けると殆どの人間は耐えられなくなります。これを分かり易くするためにタイトルのようなたとえを使ったのです。孫さんは本当に会社を辞めたいならば、ビルゲイツのように株式を手放し、会社に通うことを止めることです。まあ、もう無理でしょうね。

(終わり)

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■2.東京商工リサーチの河原光雄社長・連載 第5回

グローバルビジネスの基盤を支えるコード管理とその重要性

河原 光雄

宋メールの読者のみなさま、こんにちは。東京商工リサーチ(TSR)の河原です。

今や世界一のタクシー運営業者となったUber(ウーバー:自動車配車ウェブサイト)、世界の旅行者に大きなメリットを与えたAirbnb(エアビーアンドビー:宿泊施設ウェブサイト)などに共通する事はなんでしょうか?

答えは車両や施設等の事業資産を保有しない会社が、ITテクノロジーを用いて利用者と本来そのビジネスを本業としている事業者をつなぐビジネスモデルを構築し、急激な成長を遂げているという事です。また、ITテクノロジーの発展を背景に今後成長が期待されるものとして、金融とITテクノロジーを融合したFintech(フィンテック)と呼称される分野にも世界中で注目が集まっています。

これらITテクノロジーのシステムやサービスがトラブルなく確実に処理されるためには、利用者をIDで識別管理するなどして、個別の属性情報を識別する必要があり、またこれを適正に管理しなければいけません。言葉にするのは簡単ですが、これには多大な労力が必要となる事が想像に難くないですがどのようにして管理する事がよいのでしょうか。

全ての課題と解決策を記載するのは難しいですが、例えばBtoBビジネスにおける、企業の管理という視点についてお話をさせて頂きますと、日本では、企業の識別コードとして今年スタートした法人番号(企業版マイナンバー)の活用が期待されていますが、法人番号は日本国外の企業や事業所などには付与されません。

そのため、国内限定のサービスであれば個別の企業を特定できますが、複数の国をまたぎグローバルなビジネスを展開する場合、全世界の企業情報を一元管理した識別コードが必要となります。これには地域、国に関係なく取引先を1つのコードで管理できるコードが不可欠となっており、これに答える一つの解として、Dun & Bradstreet(ダンアンドブラッドストリート)がグローバルで管理しているD-U-N-S(R) Numberがあります。

このグローバルなユニークコードの活用は、米国政府、国連などの機関で採用され、いまや海外ビジネスの取引管理においてデファクトスタンダードとなっています。日本国内でも、国内の米軍基地、西友(ウォルマート)などで採用されている他、iPhoneアプリを作成するためにはApp Storeに対し自社のD-U-N-S(R) Numberを登録する事が必要になっており、日本国内ではTSRがD-U-N-S(R) Numberを割り当て、全世界の企業に提供させていただいています。

単純すぎるように思える管理コードではありますが、これを安易にして進めば事業規模が拡大されればされるほどマスターデータ管理は厄介となり、営業の効率化は進まず、さらにはリスク管理すら危ういものとなります。しっかりしたコード管理があれば非常に膨大に見えた国内、海外の取引先情報も統合が可能となり、事業成長への材料をもたらせてくれます。

次回は、D-U-N-S(R) Numberをキーにグローバル企業データベースを構築するDun & Bradstreet(ダンアンドブラッドストリート)のネットワークについてお話させていただく予定です。

(続く)


■3.宋文洲のTV出演のお知らせ

2016年7月10日(日)13:30~ 読売テレビ「そこまで言って委員会NP」
http://www.ytv.co.jp/iinkai/
※放送エリアが限られます。下記からご確認いただけます。
http://www.ytv.co.jp/iinkai/area/

(終わり)

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