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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第273号(2015.04.17)

「中途採用」と「中途半端」


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1.「中途採用」と「中途半端」(論長論短 No.240)
2.すぐにでも日本企業が輸出先、輸入元として関われそうな
  セネガルビジネス案件とシーズを初公開
  (アフリカ商会代表山田一雅さん 連載 / アフリカ大陸最西端、セネガルの「今」)


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■1.論長論短 No.240

「中途採用」と「中途半端」
宋 文洲

「新」が付くものはだいたい良いものです。新年、新製品、新妻・・・
どれもわくわくします。一方、「中途」には良い意味はありません。
「中途半端」の言葉から分かるように、「中途」は限りなく「半端」の意味に近く、ほぼ「欠損品」、「物足りない」の代名詞です。

日本企業の採用は新卒採用と中途採用があります。新卒から入社した社員はプロパー社員や生え抜き社員と言われ、古い企業ではどこか誇りとして語られます。
一方の中途入社社員はどこか負い目を感じて待遇や昇進などの面で不利を被るのです。

もう企業経営から離れて10年になりましたので採用の現場はだいぶ変わったかもしれません。10年前の東京電力では確か中途採用は一人も居なかったと聞いていました。これに対して関西電力には外国人を含む中途採用が10数人もいたことで話題になったほどです。

数万人の社員に中途採用がいない企業はどういう企業だろうかと不思議に思いましたが、私のような中途半端な人は一生入れない企業なので噂を聞いて想像するしかできませんでした。その日本一の優良企業の体質を露呈させたのは原発事故前後の振舞いでした。事故はやむを得ないとしてもその前後の対応の酷さは、今も記憶に新しいでしょう。

過去のデータを見ればわかりますが、日本企業が大量に新卒を採用した年はほぼ景気のピークでした。その後、景気の低迷に遭い、戦力にならない大量な新卒を抱え、翌年から新卒だけではなく、中途採用も減らすことになるのです。

もともと景気低迷の本質は過剰投資と過剰事業への調整なのです。古い市場が飽和したため、新しい市場へのシフトが起きている時期です。この時期に一番必要なのは人数でもなく忠誠心でもなく、新しい事業への対応力なのです。

新卒時代からずっと慣れてきたプロパー社員達は新しい環境に抵抗し、入ったばかりの新人はそもそも仕事の入り口に立っているだけです。こんな硬直した組織メンバーはとても素早く市場の変化に対応できません。

海外の企業の場合、採用は事業ごと、地域ごと、経営のニーズに応じて事業の責任者が臨機応変に行うのです。途中から辞める社員も多いので採用は一年中行うのです。日本企業の中でも時代に応じて素早く発展する企業は同じことをやっています。

日本では社員がよく辞める企業は悪い企業みたいに思われますが、それは乱暴な見方です。ブラック企業の退職率が高いのは確かですが、発展期のマイクロソフトやアップルの退職率はもっと高いのです。彼らはそもそも流動性の高い人材をとって発展を成し遂げたのです。その人材達が次のステージを狙ってほかのチャンスに飛び付くのは当然です。

離職率だけで企業の善し悪しを判断するならば、発展期のマイクロソフトやアップルは「ブラック企業」であり、保守期の東電は「素晴らしい企業」になります。

4月1日、香港の友人が桜を見るために東京に来ました。一緒にホテルを出た時、紺の背広を着る若者の大群が入ってきました。「彼らは何をしにいく人達ですか」と聞かれたので、日本企業の新卒採用から新人教育までの仕組みを説明する羽目になりました。

しかし、私は彼の「なぜなぜ」にいささか疲れました。欧米やアジアの企業を5、6回も転職し、今、金融コンサルタント業を自ら興した彼のような「中途半端」な人には到底理解できない話なのです。

(終わり)

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http://www.soubunshu.com/article/417377080.html
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今までの論長論短はこちら↓
https://www.softbrain.co.jp/mailmaga/list.html

■2.アフリカ大陸最西端、セネガルの「今」

すぐにでも日本企業が輸出先、輸入元として関われそうな
セネガルビジネス案件とシーズを初公開
アフリカ商会代表 山田一雅

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【忙しい方のための3行まとめ】
・日本企業に可能性のあるセネガルビジネスの案件やシーズを初公開
・輸出先としてのセネガルには、「メイドインジャパン」を求める声多数
・輸入元としてのセネガルには、エルメスにも採用された著名デザイナーの製品や、
独自のフルーツの加工食品などがある

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宋メールの読者のみなさま、おはようございます!アフリカ商会の山田一雅です。
連載も残すところあと2回となりました。
5回目の本日は、今までよりも実際のビジネスにぐっと近づいて、私が実際にセネガルで歩いて目にした、また実際に会った事のあるセネガル企業からの引き合いなどを含む、日本企業に可能性があるセネガルビジネス案件やシーズなどをご紹介いたします。

<輸出情報1:「日本の新品家電、オフィス用品、スマホ、ソーラーパネルが欲しい」と話すセネガルの大企業>

自動車、オフィス用品、家電卸・小売から旅行代理店まで、幅広いビジネスを行うセネガルの某大企業グループ。私はこのグループのオフィスに何度か訪問しています。気付けばマネージャーの自宅に招かれご飯をご馳走になっていたりするのですが(笑)、ここでは先方からいただいている「買いたい」の声をご紹介いたします。

「日本の新品家電を仕入れたい」
過去数度の連載でもご紹介して参りましたが、日本人へのセネガル人の印象は非常に良く、また日本メーカーの認知度・信頼度も高いです。にもかかわらず、現在は日本の電化製品の商品があまり販売されていません。上記の某大企業は多くの家電小売店舗および広範な卸売ネットワークを有しておりまして、現在販売商品の拡充を希望しているようです。

「オフィス用品を仕入れたい」
この企業は、前述の小売店舗とは別に、オフィス用品チェーン店も展開しております。セネガルではコピーやプリント、ラミネートなどの需要が高く、至る所にコピー屋さんがある状態です。現在、街頭店舗には日本企業の製品が置かれていない状態で、メーカーの種類も限られている状況です。

「ソーラーパネル、蓄電池、充電式のライトを仕入れたい」
セネガルの農村部では、まだまだ無電化の地域がございます。そうした地域では電気への需要から、現在一般家庭によるソーラーパネルの導入が急速に進んでいます。

セネガルでは、農村部の人でも携帯電話を持っていて、スマホも一般庶民層にも広く普及しています。毎日伝統衣装を着ているような村の女性達にも、携帯電話は必需品。パソコンは無いけどスマホは持っているという人は少なくありません。
同じ携帯電話会社間の格安通話を利用するため、各社のSIMを使うために2,3台持っている人も多いです。また複数の送金サービスなども普及しており、携帯電話はいまや生活に欠かせないものとなっています。また、セネガル人は電話でのおしゃべりが大好き。用も無いのに、友達には一日一回は電話して会話をする人をよく見かけます(私も、よく挨拶だけの電話を受けています)。

そんな携帯電話のヘビーユーザーであるセネガル人。家に電気が無い人は、充電のためにわざわざ遠い所まで出かけています。もちろんですが、照明へのニーズもありますので、充電式のライトなども需要が高いです。この企業では、そうしたセネガル人のニーズを満たすソーラーパネルや蓄電池、充電式のライトを求めているようです。

(無電化の村の写真はこちら)
http://on.fb.me/1b1eji3

<輸出情報2:セネガルでは室内外で多用される「タイルが欲しい」>

政府系入札案件に携わる友人から「日本のタイルの性能や価格などの情報が欲しい」と連絡が入っています。

畳やフローリングなどが好まれる日本では、部屋の床材にタイルを使う事は少ないですが、ここセネガルでは、基本的に室内外の床はほぼすべて「タイル張り」です。また、壁面の装飾にもタイルを多用します。街の至る所にタイル屋さんがありますので、上記のような案件はもちろんですが、タイル屋さんへの卸売の需要もありそうです。

(タイルを使っている家の写真はこちら)
https://www.facebook.com/africa.shokai/posts/1658560927709154

<輸出情報3:高速道路建設、中古タイヤ(14-17.5インチ)、食品、酒類など>

そのほかにも、現大統領と繋がりのある私の友人(日本の国土交通省のような組織勤務)を通じた高速道路建設に関する話や、別の知人や複数の中古タイヤ業者からの引き合い、日本の食品のセネガル輸入に関する相談、ビールや日本酒などの酒類と、日本のものの輸出に対するニーズや可能性はまだまだございます。
なにか気になった方はお気軽にご連絡いただけましたら幸いです。次項は輸入に関する情報です。

<輸入情報1:日本ではまず見かけないフルーツも!食品やヘルスケア商品>

世界遺産登録された和食を持つ日本。宗教的な食のタブーも無く、街では世界中の料理が味わえる、食のレベルの高さとバラエティの豊富さは世界随一です。
セネガルには、そんな日本でもまだ手に入らない、ビタミンCがキウイより豊富なセネガル独自のフルーツを使ったジュースやジャム、フランスの植民地時代に本格栽培が始まった名産のピーナッツや、味が濃くておいしいカシューナッツなどがございます。

また、日本同様海に面したセネガルでは、海産物が豊富。タコ、エビ、アジ、アワビ、イカ、ロブスター、タチウオなど、日本でもおなじみの魚介類がとれ、実は一部はすでに日本にも輸入されています。

<輸入情報2:エルメスも採用した製品の世界的デザイナーが、日本での製品展開を希望>

先日、縁あってこの世界的デザイナーのオフィスに訪問できる事になり行って参りました。日本と日本のお寿司が大好きとの事で、とても歓迎をいただきました。また、「商品(靴、鞄、布など)を仕入れたい日本企業を探している」との事でした。実際に様々な商品を手に取り見せていただきましたが、どれも非常にしっかりとした作りで、なにより目を引く独特のデザインは素晴らしいものばかりでした。

(訪問時の写真6枚はこちら)
https://www.facebook.com/africa.shokai/posts/1658550071043573

大分長くなってしまいましたのでここまでといたします。上記で触れた内容はもちろんですが、それ以外でも「●●の販売の可能性は無いか?」など、なんでもお気軽にご相談いただけますと幸いです。共通点の多い日本とセネガル、ご一緒にビジネスでも2国間の距離を近づけていきましょう!

(つづく)

<連載へのご意見やアフリカ進出のご相談などはコチラ↓>
africa.shokai@gmail.com
https://www.facebook.com/messages/1617567685141812

<筆者について>
山田 一雅(アフリカ商会 代表)
アフリカ商会 Webサイト:http://africa-shokai.jimdo.com/
アフリカ商会 Facebookページ:https://www.facebook.com/africa.shokai

セネガル在住。セネガルを足掛かりとした西アフリカ進出の支援(市場調査などによる情報提供、営業代行など)や個人向けにホームステイ先の紹介を行っている。
ハラル・ジャパン協会(http://www.halal.or.jp)セネガル支局長。
趣味は野球。千葉県出身(八千代市、佐倉市)。

(終わり)

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