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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第269号(2015.02.20)

言葉は自分主張のためにある


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1.言葉は自分主張のためにある(論長論短 No.236)
2.アフリカビジネスの第一歩を踏み出すために重要な事
  (アフリカ商会代表山田一雅さん 新連載 / アフリカ大陸最西端、セネガルの「今」)


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■1.論長論短 No.236

言葉は自分主張のためにある
宋 文洲

日本の若者に対して講演する経験を多く持つ私には、かなり以前からある面白い傾向に気付きました。それは講演後の質問時間によく感じる傾向です。日本の若者は中国の若者のように我先にと質問しないことは容易に想像できますが、それよりも私の印象に残るのは質問の内容的傾向です。

中国の若者は成功のポイントや失敗の教訓などの個人へのアドバイスを求めるのに対して日本の若者の多くは組織のノウハウや会社の在り方をよく聞くのです。
すべての外国の若者を調べた訳ではないのですが、たぶん、これが日本人と中国人との統計的相違ではなく、日本人と外国人との統計的相違だと思います。

「終身雇用は老害を産むだけ」、「無駄な残業をするな」、「嫌な会社を早く辞めろ」など、私なりの極論を語ると、だいたいこう聞かれます。「宋さんがおっしゃる問題はわが社にもある。そんな会社をどう変えればいいか」と。あるいは「わが社の手本になるような会社を紹介してほしい」と。

私は答えるのに躊躇します。答えないと失礼ですし、答えても彼らに関係のない話です。したがって少しだけ失礼をして「そんな質問は経営者に聞かれたい。あなたは会社を辞めたらいいのでは」と答えます。

しかし、このように答えながらも私には残尿感があります。すっきりしないのです。若者達は真摯な気持ちで聞いているかもしれません。私はとても彼らの役に立つような答えを持っていないのです。

個人よりも組織やグループを語るのは日本の教育に根差しているのだと思います。
主語のない会話が飛び交う中、自分を語ることは空気が読めないと思われるため、空気や集団に従うことを優先し、自分の思いや都合を語る本能がどんどん低下していくはずです。

呼吸、歩行、思考と同様に、言葉は本来、他ではなく個人のためにあるものです。
「私はお腹が空いた」「私は怖い」「私はあなたを愛している」・・・全部主語有りきです。主語の中の主語は「私」なのです。だから「第一人称」というのです。

若者には会社や国家のことを心配する余裕などはないはずです。自分がどうやって自分の給料を稼ぎ、僅かでも納税するかが何よりも重要だと思うのです。
親のお金で教育を受け、入社してから会社に安住するための術を身につけるとは悲しすぎます。

大きな組織をどう改革すべきかを心配するよりもその大きな組織が崩壊しても自分が裏切られても自分が生きていける生存力を身につけることが先です。
組織が倒れても強い個人が居ればすぐ新しい組織が生れます。
「国破れて山河あり」と言うのですが、国は組織、山河は個人なのです。

下図はアジア圏のTOEFL平均点ランキングです(ETS発表による)。
日本はアジア圏では31ヵ国中26位と低いのはいいですが、話す力は文字通り最下位の17点です。

<アジア圏TOEFL平均点ランキング>
http://www.soubunshu.com/article/414302628.html

多くの人々がこれは英語教育の問題だと考えるかもしれませんが、私はこれが日本人の自己意識の欠如だと思うのです。話すことは英語など言語技術ではないのです。自分が如何に他人と違うかを表現する本能です。TOEFLという共通テストで日本人の自己意識の無さが露呈しただけです。自己主張に慣れていない人は他人の自己主張にも慣れないのです。

P.S.
また多くの方々からご批判をいただく記事を書いてしまいました。
釈明するまでもなくこれが宋メールの特徴です。遠慮もなく、フォローもなく、取り纏めもしません。反論を期待しての一面的議論です。書きながら「そうでもないな」「こう反論できるな」と思いながら、優等生ぶりせず、批判されるための穴場を残すのです。日本人も中国人も千人千通りです。
総称で語るのは乱暴ですが、それも一々解釈したりするまでもないと思います。

さて、「アフリカは半年も住めば一生忘れられない大地だ」。
長くアフリカに住む知人からこの言葉を聞いた時、私はいつかアフリカで生活してみたいと思いました。

今日からは、そんなアフリカ大陸に飛び込んだ一人の日本人若者に宋メールに寄稿していただきます。

(終わり)

今回の論長論短へのご意見はこちらへ↓
http://www.soubunshu.com/article/414307031.html
※いただいたご意見は自動的にコメントに掲載されます。
名前も掲載されますので、問題がある場合はペンネームをご入力ください。
また、次回以降の宋メールでご意見を掲載させていただく可能性がありますので
ご了承お願い致します。

宋のTwitterはこちら↓
http://twitter.com/sohbunshu

今までの論長論短はこちら↓
https://www.softbrain.co.jp/mailmaga/list.html

■2.アフリカ大陸最西端、セネガルの「今」

アフリカビジネスの第一歩を踏み出すために重要な事
アフリカ商会代表 山田一雅

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【忙しい方のための3行まとめ】
・ビジネスのラストフロンティアであるアフリカへの日本企業の進出は遅れている
・「アフリカは1つの国ではない」という当たり前の事を意識しよう
・アフリカについて知る事が、アフリカビジネス開始の第一歩となる

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宋メールの読者のみなさま、はじめまして!
アフリカ大陸最西端、セネガル共和国在住の山田一雅と申します。

この連載では、日本ではあまり手に入らないセネガル(西アフリカ)のリアルな情報を中心にお届けいたします。
アフリカへの興味や理解を深める一助となりましたら誠に幸いです。
これから何卒よろしくお願い申し上げます。

第1回目の本日は、いきなりセネガルについて語るのではなく、アフリカビジネスの第一歩を踏み出すために重要な事について記します。

<ラストフロンティアと呼ばれるアフリカ>

『池上彰のアフリカビジネス入門』、雑誌の日経ビジネスでの特集、安倍総理のアフリカ訪問によるビジネス関係強化に向けたトップセールスの実施――ここ数年、ビジネス機会のラストフロンティアと呼ばれるアフリカへの注目が高まっています。

ケニアのある東部、南アフリカのある南部、エジプトのある北部には、多くの世界的大企業はもちろんですが、実は数十年以上も前から、同じアジアのインド企業、そして中国企業も積極的にアフリカに進出しています。

ヤマハ、味の素、ロート製薬など、最近は日本企業のアフリカ進出についても報じられる事が増えて参りましたが、実際にはこうした企業はごくわずか。
まだまだ日本企業のアフリカ進出は進んでいないのが現状です。

「アフリカは日本から地理的に遠いから」と言われる事があります。
確かに距離は遠いですが、たとえば東京からパリやニューヨークまでの距離と、エジプトの首都カイロまでなら、カイロまでの方が近いので、距離が遠い事が決定的な要因ではありません。

「経済規模が小さいから」。これも良く言われる事ですが、経済の規模を表すGDPを見ると、ナイジェリアはタイや台湾よりも大きく、南アフリカは香港やシンガポールやマレーシアよりも大きいため、決定的な要因ではない事が分かります。

では、いったい何が原因なのでしょうか?

<「アフリカは1つの国ではない」という、当たり前の事>

「政情が不安定で、治安が悪い」。日本企業のアフリカ進出が進まない理由として特によく挙げられるものです。確かに、アフリカにはこうした問題が存在しています。ですが、実はここに大きな落とし穴がある事にお気付きでしょうか?
それは、「53か国で構成されるアフリカを、まるで一つの国のように考えている」という事です。

たとえば、もし皆様の外国人の友人が、

「北朝鮮がミサイルを発射したからアジアは危ない。日本はすぐ近くだし、渡航を中止した方が良いかな?」
「タイでクーデター発生中だからアジアは危ない。中国への渡航を中止した方が良いかな?」

と相談してきたらどのようにお感じでしょうか?きっと、

「国によって全然状況は違うよ。日本/中国は普段と変わりないから平気だよ。」

とお答えになることと存じます。これはアフリカも同じなのです。
ですが、アフリカの話になると、

「南スーダンでクーデター未遂が発生したからアフリカは危ない。セネガルへの渡航を中止しようかな。」
「シエラレオネでエボラが発生しているからアフリカは危ない。ケニアへの渡航は中止した方が良いかな?」

と考えてしまう人がいます。私は、これはひとえに、アフリカについてよく知らない事が原因だと考えています。

もし南スーダンとセネガル、シエラレオネとケニアの間の距離が、日本からモンゴル、ミャンマー、ブータンまでの距離よりも離れていると知ったら、きっと上記のように考える人は少なくなるのではないでしょうか。
(なお、私の住んでいるセネガルでは昨年8月29日にエボラ出血熱患者が確認されましたが、10月にWHOが完全終息を宣言。終息に成功した最初の国となりました。)

私は、アフリカについてよく知る事が、日本企業のアフリカ進出に繋がるのではないかと考えています。この連載が、アフリカについて知る一つのきっかけになりましたら誠に幸いです。

(つづく)

<連載へのご意見はこちら↓>
africa.shokai@gmail.com

<筆者について>
山田 一雅(アフリカ商会 代表)
アフリカ商会 Webサイト:http://africa-shokai.jimdo.com/
アフリカ商会 Facebookページ:https://www.facebook.com/africa.shokai

セネガル在住。
日本企業のアフリカビジネスの支援(営業代行、展示会出展代行、市場調査等)や個人向けにアフリカでのホームステイ先の紹介などを行っている。
趣味は野球。千葉県出身(八千代市、佐倉市)。

(終わり)

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