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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第292号(2016.01.08)

間違いたい予感

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1.間違いたい予感(論長論短 No.259)
2.日本に長寿企業が多いのはなぜか――脳科学から見た日本人【前編】
  (脳科学者 中野信子さんの連載 第5回)

3.宋文洲TV出演のお知らせ

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■1.論長論短 No.259

間違いたい予感
宋 文洲

2016年の仕事はサウジ・イラン断交と世界的株暴落が伝播する中、始まりました。
仕事初日の出来事が象徴するように今年は決して昨年ほど安泰ではないと思いますが、私はどこか少し安堵感を感じてしまうのです。世の中の混乱と不幸を喜んでいる訳はありません。試験が来る日まで不安が募って試験が始まれば不安が落ち着き始める心境です。

世の中の経営者が景気は良くなると予想し始めた時、だいたい景気循環が終わる時でもあるのです。昨年末の企業向けの景気統計は例年なく良かったです。
これはおそらく例にもれず景気循環の終わりを示唆したものでしょう。
宋文洲の予感が間違っていたら皆さんが私を嘲笑ってください。私も嬉しいです。

私は昨年初頭に中国株の暴落およびそれに対する警戒を呼びかけましたが、その後上海指数は5000点から2800点まで暴落しました。年末にかけて上海指数は3600点まで戻りましたが、私はそれについてまったく興味を持ちません。

市場は四季のように正確に循環しませんが、循環していることは間違いありません。
儲かる事業に投資して利益を得ればさらに同じ事業に投資するのが人間の本能であり、合理性でもあります。このサイクルはどこまで続くかといえば市場が飽和するまでです。

理屈をいうのは簡単ですが、市場がいつ飽和するのかは誰もわかりません。
特に儲かる事業は毎回ニュービジネスという新しい顔を持つし、投資家と評論家も新しい成長理論を作るのです。株価でいえば1万円の時点で1万5千円になると言う人が出てきますし、1万5千円になれば2万円になると言う人が必ず現れます。
さらに、本当に2万円になれば2万5千円や3万円、4万円と言い出す人は必ずもっともらしい理屈を持って出現するのです。

「株は虚業だが、事業は違う」と自己満足している経営者がいますが、実は市場である以上、株も事業も同じロジックで動くのです。社名は挙げませんが、成長を見込んで膨大な資金を投じて新しい工場を建設したり、M&Aを敢行したりしてかえって会社の財務基盤を損ない維持もままならない会社を思い出してください。
後になって「なぜ調査しなかったのか」と言う人が多いのですが、調査しても分からないから市場なのです。

投資家と経営者は常にリスクを背負っているのですが、景気の良い時はそれが見えなくなるのが常です。だから大半の経営者が景気は良くなると思った時はリスクが最も高まった時なのです。

私にとって景気循環が終わった時はいつもわくわくする時です。これは個人の性格の問題です。クラスの男子の大半がある可愛い人気の女子に媚を売って接近する時、私はむしろその子に一歩も接近したくないのです。頑張っても相手にされないという諦めからではなく、人と違う可能性を見出したい性格なのです(短い脚と小さな目の私は実際に本当に相手にされないと思う)。

株の動きを見れば分かるのです。不思議に低迷期は必ず定期的に来て、その時の株は買っても買っても損していくのです。しかし、損しても低迷期に買った株は必ず儲かるのです。事業もまったく同じ理屈です。不景気の時に起こした事業、生き残った事業は本当の事業なのです。

(終わり)

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http://www.soubunshu.com/article/432194630.html
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■2.脳科学者 中野信子さんの連載 第5回

日本に長寿企業が多いのはなぜか――脳科学から見た日本人【前編】
中野 信子

2013年に帝国データバンクが発表したデータ(「長寿企業の実態調査(2013年)」)によれば、日本に創業100年以上の長寿企業は2万6,144社あるという。
これは世界的に見ると際立って多い水準で、やや古いデータになるが2008年5月に韓国銀行が発表した報告書(「日本企業の長寿要因および示唆点」)によれば世界中の創業200年以上の企業5,586社のうち半分以上の3,146社が日本に集中している。

一方、韓国には創業200年を超える企業はなく、創業100年以上の企業が斗山(1896年)と東洋薬品工業(1897年)の2社、また中国では150年以上の歴史を持つ老舗企業が5社のみである(1538年創業の漬物店「六必居」、1663年創業のハサミメーカー「張小泉」、漢方薬局「陳李済」と「同仁堂」、飲料「王老吉」)と報告されている(ただし、中国は1949年に企業がすべて国有化されている)。

なぜ、日本に長寿企業が集中しているのだろうか。これまでの分析では、植民地化を免れたこと、長期にわたる内戦がなかったこと、など様々な要因がその理由として挙げられている。

が、植民地化されなかったことが要因であれば西欧諸国やタイなどの反例があり、長期にわたる内戦がなかったというのも応仁の乱から戦国時代、近代では戊辰戦争や西南戦争などの歴史を考えればやや苦しい説明のように思われる。

もちろん、これらの要因がまったく寄与していないと主張するつもりはない。
しかし、ここには他に見落としがあるのではないかと考えるのに十分な論理の隙がある。

長寿企業には、必ずと言っていいほど、その事業についての家訓や商道徳があるという。こうした規範を守ることを長らく日本人は「伝統を重んじる」という言い方をし、美徳としてきた。一方で、近年ではこれを「非効率的なビジネスにつながる前近代的な迷妄」とする見方も増えた。

一体、どちらが正しいのだろうか?
これを論じるのはまた別の機会を待つことにして、ここでは、少なくとも企業体が長命であることには規範を重んじる姿勢が大きく寄与するようである、という推測が可能だろう、というにとどめておこう。

さて、日本の長寿企業文化を世界に伝えよう、と安易に結論付けることは簡単だが、日本になぜ、規範を重んじる姿勢が育ったのか、そこまで分析して紹介できるのでなければ単なる文化の押しつけであり、私たち自身の目には「美しい伝統」と映ることも、極東の奇妙な人々の奇天烈な謎習慣、と見なされて終わるだろう。

規範を重んじるという問題に焦点を当ててみると、ヒトの脳には個体差があり、規範や前例を重んじることを快適に感じる脳を持った人と、それを不快に感じ、自分の方式を見出してそれを遂行することに喜びを感じる脳を持つ人がいることが ある実験からわかっている。

この違いは、どのようにして生じるのだろうか?

次回は、これらを解き明かすために行われた実験の紹介から、日本人の多くが持つ脳の独特な性質と、その成立の過程について論じていこう。

(つづく)


中野信子さんの最新刊「あなたの脳のしつけ方」(青春出版社刊)
是非ご注目ください。
詳細はこちら↓
http://www.bigbenn.jp/20151109/1029/

(終わり)


■3.宋文洲のTV出演のお知らせ

2016年1月10日(日)13:30~
読売テレビ「そこまで言って委員会NP」
http://www.ytv.co.jp/iinkai/
※放送エリアが限られます。下記からご確認いただけます。
http://www.ytv.co.jp/iinkai/area/

2016年1月16日(土)19:54~
愛知テレビ「情報バラエティ土曜コロシアム」
http://www.tv-aichi.co.jp/satacolo/
※放送エリアが愛知県とその周辺に限られます。

(終わり)

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