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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第291号(2015.12.25)

総括にならない総括


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1.総括にならない総括(論長論短 No.258)
2.あなたを捕食するサイコパス――脳科学からみた「『女』というビジネス」【後編】
  (脳科学者 中野信子さんの連載 第4回)

3.宋文洲TV出演のお知らせ

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■1.論長論短 No.258

総括にならない総括
宋 文洲

ボストンから4時間近く運転してやっと娘が試験を受けるボーディングスクールに到着しました。52歳にもなった私が時差ボケを我慢しながらこんなことをするのはかなり辛いものがあります。

ホテルのテレビを見ていると、共和党大統領候補のディベートが行われていました。何と言っても「ムスリムの入国禁止」などを主張するトランプ氏が目立ちます。言葉が分かりやすく、表情が豊かなうえ、愛嬌もあって人気があるのは分かります。テロップをみると「今年最後のディベート」と書いてありました。

成田から自宅に戻る道は異常に混んでいました。理由を聞くと「年末だから」というのでやっと年末であることに気付きました。

一年を総括するにはそれぞれの視点があります。日本、中国、そして米国のマスコミが選んだ10大事件を見てもその違いは明らかです。私もこの際に総括しようとしたのですが、どの視点から総括を行うべきかで迷ってしまい、文章を書けなくなってしまいました。

結局、宋メールは宋の限界の中で書いているものですので、その限界を剥き出しにして私が思い付くままで書いてみることにしました。

日本のことを考えると今年は一つだけ思い出します。それは安保です。議論の過程に6割の日本国民が不満を感じながらも通ってしまった新安保ですが、すっかり反対の声が消えてしまい、まるで昔の出来事のようです。政治とは所詮こんな程度のものです。

2015年の日本経済は総じて好調で街の景気観も良くて新卒の就職率も高いのです。日本のマスコミだけを見ている方にとって東芝からブラック企業まで事件が絶えないように見えるのですが、実はどれも細かいことで、今年は重大な災害と犯罪もなくマスコミもかなりネタに困った一年間ではないかと思います。

2015年の日本を「安」で表すならば、2015年の中国を「乱」で表すべきでしょう。
最初はAIIBを巡って英仏独伊など主要先進国が米国に反乱を起こし、その後は上海株が乱高下し、沿海部の南シナ海を巡って米中が乱闘し、そして人民元がSDRに乱入しました。おまけに年末に10年も否定され続けてきたIMF改革案(中国シェアの拡大)は、米国議会のご乱心で批准されてしまいました。今さらです。

どれを見ても2015年は中国にとって「乱」の年であり、何か本質的に変化し始めた年でもあります。この流れはそのまま2016に引き継がれ、不動産価格の下落と不採算企業の倒産がますます加速するような気がしてなりません。

米国にとって2015年は「備」の年になりました。次の大統領を決めるための準備、利上げするための準備が米国の政治と経済のメインテーマでした。ヒラリー氏が当選するか、トランプ氏が当選するか、それでも他の誰かが当選するかによって米国政治がかなり異なってくるため、2015年は米国が自ら大きな決定をできない年になってしまいました。この一年間のオバマは引退直前の社長と同様、その言動は新たなチャレンジに見せかけても実態は自分の花道を飾ることばかりでした。

欧州とロシアと中東はISISや難民問題を切っ掛けに一体化してきました。
中国もシルクロード構想やAIIBを通じて欧州との連携を強化していることを考えると、ユーラシア大陸の一体化が図らずも進んだ年でもあります。

2016年は基本的に2015年の流れの延長線上にありますが、米国だけは大統領選の行方によって大きな不確定要素を抱えています。一つだけ言えることは米国も10年前のような力を失い、世界の流れを作り出すことは不可能になりました。

2016年は多極化がますます顕著になる年であり、世界経済も6年間の好調の終焉を迎える可能性があります。日本自体はこれと言った明確な危機を抱えていないかもしれませんが、このような複雑な世界情勢への適合を迫られる年になるでしょう。

世界がどう変わっても庶民の我々は自分と家族を守るテーマは変わりません。
世界情勢を総括する資格がないのにしてしまった自分がお恥ずかしいです。

宋メールの読者の皆様に、またも一年間お邪魔して参りました。毎回テーマの選択と論調の決定に迷うのですが、どう頑張っても皆様にそれぞれ不快にさせる言い方や見方があったと思います。
来年も続くようですが、よかったら来年もこの腐れ縁を続けて下さい。

皆様、良いお年を。

(終わり)

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http://www.soubunshu.com/article/431622640.html
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■2.脳科学者 中野信子さんの連載 第4回

あなたを捕食するサイコパス――脳科学からみた「『女』というビジネス」【後編】
中野 信子

ドイツにあるアーヘン工科大学のSchneiderらの研究によれば、サイコパスは、眼窩および内側前頭前皮質の2か所に機能的障害を持つ。眼窩前頭前皮質は「他者への共感」を、内側前頭前皮質は「良心」をそれぞれ司っている領域といわれる。

つまり、共感能力が低く、相手の痛みを感じることができない。そして、自分がどんなに残虐な行動をしても、罪悪感を持つことができない。そんな脳を持っているということになる。

実際、サイコパスは他人に共感することが苦手だ。
実験では、電気ショックを受けている知人の姿を見せて、皮膚の電気伝導度を測る。普通の人では発汗が増えて皮膚の電気伝導度は上がるのだが、サイコパスでは上がらない。

さらに、サイコパスは不安を感じたり、深く後悔したりすることもできない。
不安や恐怖の感情が低下していることについても、行動遺伝学者のLykkenが実験で確かめている。

ブザー音が5秒鳴った後、不快な電気刺激を与える、というデザインの実験なのだが、これを行うと健常な人ではブザーが鳴っている間、皮膚の電気伝導度が上がる。しかし、サイコパスではその反応が起こらない。
つまり、彼らは痛みに対する不安と恐怖を感じていない。

また、罰の刺激を回避させる学習課題を行わせても、サイコパスは成績が悪い。
罰を受けても、彼らの脳はそれを罰だと感じられないからだ。
つまり、極刑も、サイコパスにとってはまったく犯罪抑止の意味を持たない。

では、サイコパスは生まれつきこんな脳を持っているのだろうか?
それとも、後天的な教育によってサイコパス脳に育つのだろうか?

実は、サイコパスには遺伝的素因があることが示唆されている。
約3500組の双子に対する調査によれば、冷淡さ・情動の欠如について有意に集団遺伝性が見られたという。

相手の痛みを感じず、罰を恐れず、呼吸をするように他者を利用する。
邪魔になればあっさり殺害する。

近くにいたら、と考えると何とも恐ろしい存在だが、アメリカの心理学者、マーサ・スタウトによれば、サイコパスの存在する確率は、欧米で4%。
東アジアでは欧米よりの10分の1程度といわれる。25人に1人、あるいは250人に1人というのはかなり高い比率といえるのではないだろうか。

今この瞬間も、あなたのまわりにいる誰かが、サイコパスとしてあなたを食い尽くしてやろうと狙いを定めている可能性がある、そう考えてもまったくおかしくない数字だ。

サイコパスの犯罪の多くは、
・他人から金銭を得る
・巧みに性的関係を持つ
・承認され、多くの人から尊敬される
ことを目的としている。健常人であればそれを、刑罰を受けない(まっとうな)方法で達成しようとするが、サイコパスでは安直で、反社会的な行動で行おうとする。

IQが高くなるほど、サイコパスの反社会的行動は減っていくというデータがある。
これは、IQの高いサイコパスがいないということを示しているわけではない。
IQが高ければ、反社会的とみなされるかもしれないギリギリのラインで、効果的に自分を演出しながら、利益を得ることが可能だからだ。

もしかしたら、殺してしまわない程度に生かされながら、あなたもいま、知能の極めて高いサイコパスに搾取され続けているのかもしれない。

(終わり)


中野信子さんの最新刊「あなたの脳のしつけ方」(青春出版社刊)
是非ご注目ください。
詳細はこちら↓
http://www.bigbenn.jp/20151109/1029/

(終わり)


■3.宋文洲のTV出演のお知らせ

2016年1月10日(日)13:30~
読売テレビ「そこまで言って委員会NP」
http://www.ytv.co.jp/iinkai/
※放送エリアが限られます。下記からご確認いただけます。
http://www.ytv.co.jp/iinkai/area/

2016年1月16日(土)19:54~
愛知テレビ「情報バラエティ土曜コロシアム」
http://www.tv-aichi.co.jp/satacolo/
※放送エリアが愛知県とその周辺に限られます。

(終わり)

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